大学生が短期留学?絶対にオススメしません!?
コロナ以前は、大学生の留学と言えば『ほとんどが短期留学』というような状況でしたが、国境が正常に再開され自由に留学が可能になった今、大きな変化が起きています。
ここではそんな大学生の『短期留学の事情』について詳しく紹介してみたいと思いますので、もし、お時間が許されるようでしたら最後までお付き合いください。
大学生の留学割合は3%しかいない!
コロナにより海外留学に対して完全な規制が加えられることになった2019年までの間、海外留学に出る留学生は毎年のように増えていたことをご存知でしょうか?
こうした動きとなっている理由として、官民共同となって学生たちに海外経験をさせるよう働きかけていたからに他ならないのですが、実際、海外留学に出る日本人の数は10万人近くにも及んでいました。
大学生の留学者数はどうだった?
そうした中で、皆様は「大学生全体の何%が海外留学を経験しているか?」という割合についてご存知でしょうか?
そうです。タイトルにも記載させていただきました通り、残念ながら留学を経験している大学生は大学生全体のたった3%しかいないというのが現実だったり致します。
3%と聞くとスペシャルな感じがしますので、大学生の時から海外経験積んでおくのは「とても良いことだ!」とお考えになられる方もたくさんいらっしゃるかと思うのですが、実は、現実はそう甘くないようです。
というのも、コロナ以降は社会や企業から求められるスキルや経験が大きく変わっており、『短期留学経験者=ヤバい?』という空気が出始めているためです。
そこで続いては「大学生の留学の目的がどのようになっているのか?」というところから、短期留学を考えいらっしゃる大学生の実態について紹介させて頂きます。
- 大学生の短期留学という選択は本当に正しいのか!?
留学者数 | 10万5,031人(留学経験者は大学生全体の約3%) | ||||
---|---|---|---|---|---|
渡航先 | アジア 38% | 北米 28% | ヨーロッパ 20% | オセアニア 12% | |
留学期間 | 1ヵ月以内 63% | 3ヵ月以内 73% | 6ヵ月以内 84% | 1年以内 98% | 1年以上 2% |
長期留学の割合 | 1年以上留学経験者は大学生全体の0.08%(8人/10,000人) |
(日本学生支援機構:2017年度調べ)
短期留学って安易に選んではいけないんですね!
コロナ以降、大学生の留学が大幅に変化しており、短期留学を安易に選んだことで、その後の就職活動にマイナスになってしまうこともあるので注意してください!
留学の目的が異文化交流だとヤバイ!?
留学希望を持った大学生3,000人以上に対して「あなたは何のために留学に出るのですか?」という質問をした結果、回答は以下のようなものになっています。
大学生の留学目的TOP3
- 異文化交流がしたい(文化を学びたい)
- 海外に住んでみたい
- コミュニケーション能力(英語力)を伸ばしたい
実際に、上記以外の留学目的を掲げていらっしゃるかたは本当に少数ですので、「私は違います!」という方もいらっしゃいましたら、数少ない将来やキャリアについてしっかりと考えていらっしゃる大学生ですので、是非、自信を持って頂ければと思います。
というのも、実は、上記の大学生が海外留学したい目的のTOP3は、中高生に対して海外留学したい目的についてアンケートをとっても全く同じTOP3が挙げられているからです。
つまり、上記の3つの留学目的を掲げていらっしゃる大学生がいらっしゃいましたら、中高生は全く同じ目的意識を持って海外留学に出ているので注意が必要です。
- 大学生の短期留学生の多くが中高生の留学目的と同じになってしまっている!
危機感を感じる社会人!?
皆様の先輩となる『大学を卒業して1~3年経過している人たち』の中で、現在、ホワイト企業を辞めてブラック企業へと就職する動きが広がっていることについてご存じでしょうか?
実は、コロナの影響でインターンシップや海外留学など満足に経験が積めないまま卒業、就職することになってしまった人たちの中には、これからコロナ以降の新しい教育や海外経験を積み後輩として入社してくる新しい世代の存在を恐れている人が沢山います。
そのため「このままじゃダメだ・・何かしないと負けてしまう・・」と考え、安定したホワイト企業を辞めて、再度、学びなおしのために進学や留学を志すケースやブラック企業に勤務して自身を鍛え上げることを考える人が増えています。
特に、優秀な人材であればあるほど世界情勢の変化に対して敏感なため、「こんな優良企業辞めるの?」とバブル世代では考えられないような状況になっています。
- 新しい世代に恐怖を感じている社会人が増えている!
小中高生は更にレベルアップしている!?
そうした中、現在の小中高生は日本の教育改革により更にレベルアップしている世代になってきており、例えば、「将来的に収入を大きく左右する」と言われているIT・プログラミングに関しても大きな変化がおきています。
というのも、2022年9月に発表されたデータによると、高校生29.2%が「プログラミング経験がある」と回答しており、皆様の後輩として入社する人の約3人に1人がプログラミング経験者ということになります。
しかしながら、その高校生もまた状況は良くなく、実は、28.2%というプログラミング経験者の割合は小中高生の中で最低の数字となっており、なんと小学生は高校生の2倍となる60.6%が「プログラミング経験がある」と回答をしています。
つまり、現在の大学生の多くは、今の高校生からプログラミングスキルで下からの突き上げを受ける可能性があるが、高校生たちは更に下の世代から突き上げを受ける可能性が高いことが分かります。
ですので、もしあなたが大学生で、『異文化交流』や『海外に住んでみたいから』を目的とした留学をお考えになっていらっしゃるとしたら、少しでも良いので「あれ、もしかして私やばくない?」と思っていただけたら嬉しいです。
- 2022年から高校生のプログラミングは必修化されている!
- 大学生の異文化交流目的の留学は注意!
- 中高生と同じ留学目的ならば留学の見直しも視野にいれる!
プログラミング経験者の割合(学年別)
※ グラフをクリックすると詳細が出ます
未就学 | 未就学児 | 20.3% |
---|---|---|
小学生 | 1年生 | 38.4% |
2年生 | 58.1% | |
3年生 | 77.9% | |
4年生 | 66.7% | |
5年生 | 59.2% | |
6年生 | 69.2% | |
中学生 | 1年生 | 57.4% |
2年生 | 42.2% | |
3年生 | 36.8% | |
高校生 | 1年生 | 12.5% |
2年生 | 30.8% | |
3年生 | 39.1% |
(株式会社やる気スイッチグループ:2022年度調べ)
私は異文化交流を目的とした留学を希望してました!
異文化交流は凄い良いことなんです!
でも、コロナ以降の留学は異文化交流よりももっと高いクオリティを求める大学生がほとんどになっています!
語学留学している場合ではない?
続いては、留学の目的に『語学留学』を掲げている大学生についてのお話をさせて頂きたいと思います。
大学生の多くは、大学を卒業するとそのまま社会人として社会に出て働くことになるのですが、卒業から就職までの間に待っているのは、こちらにいらっしゃる多くの皆様が不安に思っていらっしゃるであろう『就職活動』です。
英語力とガクチカの関係!
就職活動では履歴書や職務経歴書が必須になる訳ですが、就職経験やボランティアにアルバイト経験、それに就職時に有利に働く資格やスキルなどを持っていない大学生にとって、履歴書の記載ほど怖いものはありません(いわゆるガクチカ:学生時代に力を入れたことです)。
そこで、少しでも履歴書を充実させるため、英検やTOEIC、TOEFLにIELTS、それにケンブリッジテストといった英語力証明資格の取得を目指し留学を希望する大学生が後を絶ちません。
しかし、残念ながらTOEICのようにテクニック次第でスコアを大幅に引き上げることができるようなテストでさえ、1~3ヵ月の短期学習で企業が求める水準まで成績を上げることは至難の業だったり致します。
特に、英語を必要とするような企業は求められるスコアが跳ね上がりますし、一般企業であればTOEICスコアが採用基準に入っていないなどという背景もあるので注意が必要です。
- TOEICなどテクニックでスコアが上がるものもある!
- そもそも英語力を採用基準としていない企業も多い!
留学は企業に評価されない?
続いて、『語学留学と企業採用の関係』についてですが、文部科学省の発表している企業採用のデータによると、そもそも日本企業の約90%は採用時に留学経験を評価していないことが分かっています。
つまりこれは「留学経験は企業にとっての有益になるとは限らない!」と大多数の企業が判断しているということを指します。
それもそのはず、実は、留学経験者のほとんどである98%がたった1年以内の語学留学なのですから、留学そのものに対する評価が自ずと低いものになってしまうのも仕方ありません。
本来であれば、海外大学や大学院で最先端のIT技術を身に付けたり、世界中から集まってきた優秀なエンジニアと一緒にモノづくりやディスカッションしたり、海外に販売ルートなどを構築できる人脈を持った人材は企業にとってとても有益で、必ず採用でプラス評価されなければいけないところなはずです。
しかしながら、留学全体の評価基準が低くなってしまっているため、『留学経験=優秀な人材』と一概に判断することができないことから、そもそも留学経験を採用基準に入れていない企業が多くなっていることが分かります。
英語教育は小学3年生から!
また、小学生からの3年生からの英語教育が必修科目として始まっている中、「私は短期留学を経験してTOEIC 600点です!」は「私は英語が全く話せません!」または「ビジネスレベルの英語はできません!」という意味にもなり得る時代となってきています。
そのため、留学が企業に対してのマイナス印象を与えることもあると、こちらにいらっしゃる大学生の皆様には知っておいていただければと思います。
- 日本企業の約90%は採用時に留学経験を評価していない!
- 留学が就職活動にマイナス影響になってしまうこともある!
企業意識 | 割合 | 企業意識 | 割合 |
---|---|---|---|
留学者を積極採用したい | 11.2% | 留学生採用に前向き | 11.2% |
留学経験の有無を考慮しない | 75.3% | 留学生採用を意識しない | 88.3% |
分からない | 13.0% | ||
未回答 | 0.5% | 未回答 | 0.5% |
※ 日本企業の90%は採用時に留学経験を評価することはない
(文部科学省:2020年3月調べ)
周りから「学生の間しか留学に行けないから!」と言われて焦ってしまっていたかもしれません・・・。
正直、社会人の留学は大学生の留学よりも何倍もキャリアが崩壊するリスクが高いものになります。
しかし、大学生が安易に留学に出ることも大きなリスクになっているのが現実です!
短期留学のメリットがデメリットを超えない
そして最後に短期留学のメリットがデメリットを超えないことについて紹介させて頂きます。
短期留学の後の長期留学?
短期留学を経験した大学生の中には、「短期留学では全く意味がなかった!」と感じて、帰国後に大学を休学し1年間の長期留学へと、再度、留学されるケースがあります。
これは留学を切っ掛けにして、「自分を世界レベルで客観的に評価する機会を得ることができた!」という留学がプラスに影響した結果といえます。
しかし、こうしたケースは一部の学生にのみ可能なレアケースとなっており、全く一般的ではありません。
というのも、大学生の間に2度も留学に送り出してくれるような気持ちや費用を持ちあわせた親は本当に少なく、基本的には「再度、留学に行きたいというならば自分のお金で行きなさい!」という状況になる家庭がほとんどだからです。
ただし、当然、社会人になってからの留学は学生時代の留学と比べて、キャリアや費用、それに時間に対して大きなリスクとなるのは言うまでもありません。
- 短期留学の後に長期留学を経験できる人はほとんどいない!
- 最初で最後の留学になってしまう可能性もある!
夏休みの企業インターンができない?
次に、就職活動を考えている留学生にとって最も重要な点が、夏休みや冬休みなどの長期休みに留学に出ることにより企業インターンシップに参加できなくなるという点についてです。
企業でのインターンシップは実力のある方にとっては必須ではありませんが、そうでない方にとって、就職希望先の会社に対して自分を売り込むことができる非常に大きなチャンスとなります。
他にも、就職を考えている企業の考え方や就労環境についても知ることもできるため、「本当にその会社で良いのか?」と、自分と企業のマッチングの成否を判断する大きな機会でもあったりします。
そうした重要な機会を、大きな成果を出すことができない留学のために失ってしまうのは、人生における大きな損失になる可能性があることを、是非、覚えておいて頂ければと思います。
- 短期留学は企業インターンを犠牲にするため就活にデメリットが大きい!
短期留学は留学先選びも重要?
余談ですが、大学生にとって留学先選びは非常に重要です。
というのも、やはりアメリカやイギリスそれにカナダやオーストラリアと言う国々に留学する大学生の多くは、「安価に留学できる国では無い!」という覚悟を持っている方々が多いため、遊びやバカンス感覚で留学に出る学生は発展途上国の留学と比較して圧倒的に少ない傾向があります。
それは、1,000円でお腹一杯に食べられるレストランに行くのと、一生に1度行けるかどうかも分からない10万円のフランス料理のフルコースに行くのとでは、やはり、行くための心構えも違いますし、そこで食べている人たちの気持ちや意識が全く違っていることに似ています。
そのため、もし短期留学しか選択肢がないのであれば、少なくとも国や地域を厳選し「留学先で誰と出会い何を学ぶか?」と言うところまでを明確にし、短期留学のデメリットをメリットに変えることも考えてみてください。
- 留学する国によって留学生の意識レベルが全く違う!
確かに周りの環境について全く考えていませんでした・・。
日本の小学校受験を希望したご家族の多くが、その理由として『学校で出来る友達やそのご家族の生活環境』と回答されます。
人は必ず周りからの影響を受けるので、少しだけ注意しておいても良いかも知れません!
大学生の短期留学はオススメしない!!まとめ
ココア留学では、これまでたくさんの大学生の留学について携わってきましたが、最近は「日本の大学そのものの価値が失われてきている!」ということも学生側から話題に出てくるようになりました。
特に、高校生の子たちが日本の大学へ進学せず、海外のカレッジへの進学を希望する相談を受ける機会は、10年前と比較して何十倍にもなっています。
そして、そんな日本への進学を捨てた彼らに対して、海外エリート留学と呼べるようなルートを作り「帰国後は年収500~800万円クラスの仕事から自分に合った就職先を探す!」といったことが可能になる留学も提案しています。
もちろん、最近では海外永住権の取得を希望される高校生も多いので、時代は大きく変わってきていることを感じております。
そこで、こちらにいらっしゃる大学生の皆様にも、是非、少しでもクオリティの高い留学を経験して、将来の生活を安定した楽なものにして頂ければと考えております。
ココア留学では、海外教育を通じたキャリアデザインしかできませんが、もし興味が御座いましたらお気軽にご相談頂ければと思います。