大学生の留学経験者の割合3%!大学生がヤバイ本当の理由!
コロナ規制も緩和され、街へ出かけると外国人労働者や留学生を見かける機会も増えましたが、「逆に日本人は何人くらいが海外に留学していたり、海外でアルバイトやインターンをしているのだろう?」と言う単純な疑問を思ってしまうことってありますよね?
ここでは、そんな皆様の疑問にお答えする形で『大学生の留学経験者の割合』について、政府発表のデータを参照しながらご紹介させて頂きたいと思います。
大学生の留学経験者の割合は3.8%
皆様にご質問なのですが、日本にいる大学生の内、いったい何人の方が「私には過去に留学経験があります!」と答えると思いますか?
留学を希望される大学生の多くが「僕の周りにはたくさん留学経験者がいるよ!」や「えー何人かなぁ?多分20人くらいじゃないかな?」と回答され、「私には数人しかいない!」や「1人も留学経験者の知り合いはいません!」と答える事は、実は、ほとんどいらっしゃいません。
大学生の留学経験者が1桁%な世界
そんな、一見すると身近になったように感じる留学ですが、実は、年間ベースで見ると大学生の留学経験者の割合は大学生全体で考えると何とたったの『3.9%』(コロナ前)しかいません。
文部科学省により発表された学校基本調査(2019年度)によると、日本の大学生は260万9,148人(過去最多)となり、短大や大学院生などを加えると約300万人の学生が在籍しているのですが、過去最高の留学生数を記録したコロナ前となる2018年の留学生が11万5,146人となります。
つまり年間ベースで見ると留学生が過去最多の年で、115,146人÷2,918,668人 = 3.9%しか留学に出ていないことが分かります。
また、コロナにより2020年には1,487人まで激減するなど、大学生全体における留学経験者の割合もコロナ以前と比較してかなり減少していることが予想されます。
留学経験者はかなり少ない?
1年間の留学3.9%について、どれくらい少ないのかイメージできましたでしょうか?
3.9%というのは、例えば、1クラス25~26人程度と人数が少なめな中学や高校のクラスルームがあるとして、そのクラスであなたの後ろの席に座っているA君、たった1人しか留学していないという状況になります。
こうしたリアルな大学生の留学に関する割合を見て心に浮かぶのは、やはり「今の私たち(大学生たち)は本当にこのままで良いのでしょうか?」という将来に対する漠然とした不安と疑問です。
そこでここでは、大学生のご子息・お嬢様をお持ちのご家族の方々や、現役の大学生で将来の就職や進学について悩んでいらっしゃる方々のために、世界の大学生の留学事情も交えながら、日本の大学生の留学割合について、更に詳しく深堀してご紹介させて頂きます。
また、留学について全く考えていらっしゃらない大学生の皆様にとっては、もしかしたら「世界に目を向けて頂ける機会として使っていただけるかも知れない!」と言う思いも込めておりますので、是非、最後まで読んでいただけましたらと思っております。
- 大学生全体に対する年間留学割合は3.9%!
大学生で留学に行く人ってそんなに少ないんですね・・。
ちなみにコロナの影響を受け始めた2020年は大学生全体の0.04%しか留学していないことを考えると、留学経験者が激減したことは間違いなさそうです。
更にマズイ長期留学経験者の割合!?
「大学生のうち留学経験者がどれくらいいるのか?」について詳しくお話をさせて頂く前に、大学生の留学がどのような状況になっているのか、もう少しお話させて頂きます。
大学生の留学は減っている?増えている?
テレビやインターネットなどのニュース等を見ておりますと、「大学生による留学は年々減ってきている!?」と言う風に報道されることもあるのですが、実は、その情報は古いものだったりいたします。
2004年をピークにして減り続けていた留学生の数は、2009年以降は日本政府による大規模な留学啓発イベントなども本格化したこともあり、コロナのパンデミックの影響を受けた2019年までは少しずつ増えていました。
2009年は、2008年9月におきたリーマンショックによる世界的な不景気による影響で、近年ではコロナ以外で留学者数が最低に落ち込んだ年になりますが、その2009年の約3万6302人と比較して10年後の2018年は約3.2倍の11万5,146人となるなど、留学経験者は良いペースで増えていました。
- 2009年からの10年で大学生の留学者は約3.2倍になった!
見逃してはいけない政府データの穴!?
しかしここで、「大学生の留学が増えていた!」と安心してはいけないのが、『留学生に占める短期留学者の割合』です。
実は、この最大11万5,146人にも増えた大学生の留学経験者の内、全体の66.4%となる約7万6,545人が留学期間1ヵ月以下の短期留学経験者となっていて、留学期間1年以上の留学経験者はなんと2,034人しかおらず、留学経験者とされる全体の中で1.7%しかいませんでした。
これがどういうことかと言いますと、1年以上の留学経験者をする人が約2,000人の割合で毎年留学したとして、大学在籍期間を4~5年間と考えると、多く見積もって大学生全体には最大約1万人となる1年以上の留学経験者がいたことが想定されます。
日本国内の大学生(学部生)の人数は2018年時点で過去最高の約260万人となっていたため、1万人を260万人で割ると、大学生全体の約0.3%だけが1年以上の留学経験者となっていたことが分かります。
もし、皆様の周りに1年以上の留学経験をした大学生がいらっしゃいましたら、その大学生は『約300人に1人』と言うことになりますので、例えるなら、1学年に100人程度が在学している高校があるとすると、その高校1~3年生全体でたった1人いる逸材と言うことになります。
- 1年の留学経験がある大学生は300人に1人!
3ヵ月以上の留学経験者はどれくらい?
大学生の皆様の中には「1年という期間が長すぎるため留学経験者が少ないのでは?」と思っていらっしゃる方もこちらにいらっしゃると思いますので、3ヵ月以上の留学経験者についても大学生全体の何%くらいいるのか計算してみましょう。
こちらも先ほどの同じ、コロナの影響を受けていない留学生が最も多い2018年のデータによると、3ヵ月以上の留学を経験した大学生は27,542人/年いらっしゃいます。
つまり大学生(学部生)のうち、27,542人÷2,609,148人 = 1.0%が1年間に留学を経験するということになり、大学院生・短大生を含むと0.9%と同様の水準になります。
また、こちらも在学期間が4~5年間あると考えると、大学生全体に半年以上の留学経験者は約11~12万人前後が在籍していることが分かり、これは大学生全体の4%、大学院生・短大生を含むと全体の約3%しかいないことが分かります。
- 大学生全体(学部生・大学院生・短大生を含む)のうち3ヵ月以上の留学経験者もまた3%しかいない!
年 | 人数 | 3ヵ月以上 |
---|---|---|
2009 | 36,302 | 10,079 |
2010 | 42,320 | 16,025 |
2011 | 53,991 | 18,362 |
2012 | 65,373 | 20,202 |
2013 | 69,869 | 21,488 |
2014 | 81,219 | 30,286 |
2015 | 84,456 | 24,670 |
2016 | 96,853 | 26,774 |
2017 | 105,301 | 27,415 |
2018 | 115,146 | 27,542 |
2019 | 107,346 | 24,890 |
2020 | 1,487 | 883 |
※ 日本人の大学生が海外に留学で出る機会は凄く増えている。
(文部科学省: 2022年度調べ)
たしかに私の友人は1週間とか2週間の短期留学生ばかりの印象です・・。
「3ヵ月以上の留学経験者が大学生100人中たった3人しかいない!」って考えたら、本当に少ないですよね・・。
大学生が想像する留学期間の長さ?
続いて、大学生が留学を考える目的の1つとして、『就職時のガクチカ(学生時代に力を入れたこと)に記載するため』というケースが多いのですが、例えば、1~12週間の超短期留学に出ていたとしても「私は留学経験があります!」と宣言してしまって良いのか?と悩まれる方がいらっしゃいます。
こちらの結論から申しますと、大学生が『留学』と呼んでいるものは、ほとんどの場合において『短期留学』となっているため、たとえ1~12週間の留学でも留学経験として語っても問題はなさそうです。
というのも、先ほどご紹介させて頂きましたとおり、留学生の大部分が経験している留学というのが3ヵ月以下となる留学になっていて、留学全体の75%を占める割合になっているためです。
- 3ヵ月以下となる留学は留学全体の75%
1ヵ月以下の短期留学の割合は?
しかしながら、コロナ以前は夏休みや冬休みなどの長期休暇を利用した、留学期間1~2週間という海外旅行期間と変わらないような留学についても数多く行われていました。
そこで「1ヵ月以下の短期留学は大学生が経験している留学はどれくらいを占めるのか?」というと、実は、半数以上となる全体の約66%が1ヵ月以下の短期留学となっています。
つまり、例えば就職活動時に「留学経験がある!」という大学生は、少なくとも半数は1ヵ月以下の短期留学経験者となっていることも逆算すると分かってくるので、留学をガクチカで話す際の参考にされてみてください。
- 1~2週間程度の留学でもガクチカとして記載する大学生は沢山いる?
1~2週間の留学って、たしかに「海外旅行との違いって何?」ってなりますよね・・。
留学というと『遊び』じゃなくて『勉強』とできるので、「周りの目を気にせず海外に行ける!」というかたも多くいるようです。
今の大学生が本当にヤバイこと?
さて、これまで大学生の海外留学者の割合や政府の留学対策などの状況について色々とお話しさせていただきましたが、それではいよいよ本題に入らせて頂きたいと思います。
先に、留学者の全体人数としてはコロナ以前の2009年から2018年までの10年で、大学生の留学者は約3.2倍となる78,844人も増えたのですが、実は、1年以上の長期留学の人数は10年間、微増や微減を繰り返して約2,000人前後とほぼ変わりがありません。
つまり、10年で増えたのは短期留学だけとなっており、以前は留学について『留学=半年以上』と言う認識だったものが、今では『留学=1ヵ月以下』という認識が主流となり、1年以上の留学に関しては『激レア留学』という認識になっています。
また、欧米の文化では『長期のバケーション』をとる文化がありますが、2週間~1ヵ月程度の海外滞在は『海外旅行(長期休暇)』という認識になりますので、なんとなく日本における大学生の留学に関する認識のヤバさを感じてしまうかたも多いかと思います。
- 欧米の文化で2週間~1ヵ月程度の海外滞在は長期休暇
- 1年以上の留学経験のある大学生は激レア!
高校生は短期留学を視野に入れていない?
そうした大学生の留学状況ですが、「大学生の少し下の世代となる最近の高校生の留学事情は一体どのようになっているの?」という、皆様が気になるポイントについても少しお話させて頂きたいと思います。
2019年の国立青少年教育振興機構の調べによると、「可能であれば留学がしたい!」と言うふうに答えた高校生の割合は全体の約半数となる49.6%にも膨らんできており、政府による留学に関する広報活動の効果がデータとして出てきています。
高校生は短期留学を考えていない?
しかしながら、大学生が主に行っている短期留学は高校生よりも更に下の学年となる小中学生で、短期留学セミナーや短期留学カウンセリング会などを開催してみると、高校生では無く小中学生の留学に関する問い合わせのほうが圧倒的に多くなってきています。
これはつまり、1ヵ月未満の超短期留学を小中学生の間に経験、そして半年から1年程度の中期留学を高校生の間に経験して、国内トップレベルの大学や海外大学へと進学していき、大手企業や外資系企業・海外就職などを目指すルートがトレンドになってきていることを意味しています。
また、当然ですが、10代前半の間に留学を経験して海外経験を積むと、大学生になると長期留学や海外進学・海外就職を計画するようになり、語学留学の域を軽く超えた『英語を使って何かを学んでくる』や『海外で通用するスキルを身につける』と言う超ハイレベルの留学を経験を積んでくることができます。
特にコロナ以降は、大学卒業後は海外企業も就職先として視野にいれる方も増えているため、短期留学の弱年齢化はドンドンと進んでいくことが予想されます。
- 高校生の多くは中長期の留学を考えている!
- 短期留学は小中学生のトレンドになっている!
高校生の凄さがヤバさを煽る!?
こうした高校生や小中学生の留学に対する意識の高さは、現役の大学生である皆様の将来に大きな影響を与えることは言うまでもありません。
例えば、短期留学を経験した大学生たちが社会人として勤務し3~4年が経った頃、後輩として入ってくる新卒の大学生たちは、自分たちの世代には0.3%しかいなかった英語を当然のように使える長期留学経験者になります。
また当然のことながら、日本がジョブ型雇用へと変わっていくことを意識して、中には海外で最先端のIT技術を身に付ける留学で修士や博士などの学位を経験していたり、海外で本格採用経験を持った優秀な部下が次々と入社し皆様のポジションを一気に奪い取っていくことが予想されています。
現在でも「崩壊した!」と言われている『終身雇用』が崩れてしまった日本で、AI技術の発展とロボット化が進むことにより解雇されたらどうなるか?
「あれ?今の大学生ってもしかして、短期留学とかしてたらヤバイんじゃない?」と考える危機意識と情報アンテナが高い学生は増えてきています。
- 海外でスキルを身に付けた後輩に仕事を奪われる可能性が出てくる!
海外のIT教育って日本とは違ってかなり進んでいると聞きました!
留学経験者の多くが目指す企業は、海外部門があったり語学が必要になる会社になるため、後輩も留学経験者が入ってくる可能性が高くなることは忘れないでくださいね!
大学生の留学者割合3%!大学生がヤバイ!まとめ
さて、ここまで「大学生の留学者の割合が大学生全体のたったの3%しかいない!」と言うお話から、『将来の日本における短期留学を経験した大学生の現実』についてまで長々とお話しさせていただきました。
しかしながら、まだまだ日本の大学生は世界的に見ても優秀な人材が多く、特に社会人教育を徹底する日本の社会においては、社会人になってから大きく成長する大学生が多いのは事実です。
そのため「自分は大学生の間にはコロナの影響で留学できなかった・・」と、悲観する必要も全くありません。
ただ、こうした現在の大学生における留学や留学教育の現状を、「知って行動を起こさなかったのか?」それとも「知らずに行動を起こさなかったのか?」と言う点では大きな差がありますので、「これから何をすれば良いのか?」を考えるきっかけにして頂ければと思います。
学生のうちは、どうしても勉強に打ち込む事や好きになる事は難しいですが、こちらの記事をきっかけにして、客観的に置かれた自分たちのポジションを知ることで、少しでも多くの大学生に危機感を感じていただき、「ちょっとだけ勉強してみようかな?」と思って頂けたら、それ以上の喜びはありません。
ここにいらして頂いて記事を読んで下さった3%とは言いません。1%の大学生にだけでも、こうした現実について心の片隅に置いておいていただけたら幸いです。