留学で外資系企業への就職はかなり難しい?リアルな話!
多くの留学希望者から「私は留学して外資系企業に就職したいです!是非、留学のサポートをお願いします」と言うご相談をお受けいたします。
しかし、実は皆様が思っていらっしゃる何倍も外資系企業への就職ルートは狭いものだったりいたします。
そこでここではGoogleやAmazonそしてAppleといった、大手企業の中途採用情報をご紹介しながら、本格的な外資系企業就職と海外留学についてご紹介させていただきます。
外資系企業の数はどれくらい?
まず外資系企業への就職を考えていらっしゃる皆様に、実際「外資系企業は日本国内においてどれぐらいの数があるのか?」皆様には知っていただきたいと思います。
日本の外資系企業の状況
日本における令和元年の外資系企業の数は5,748社(日本企業は約280万社)で、従業員数は約51万人となっています(経済産業省調べ:外資系企業動向調査)。
日本の就業者数が6,733万人であることを考えると、日本国内において外資系企業で働いている人は全体の約0.76%になり、つまりはおよそ130人に1人だけが就職しているという非常に狭き門となっていることが分かります。
- 外資系企業で勤務している人は労働者全体の130人に1人
外資系企業の就職は難しい?
次に、留学に出る大多数の方が希望する外資系企業への就職ですが、こうした就職状況のデータをご覧になっていただければわかるように、外資系企業への就職は決して簡単なものではないことがわかります。
また、TokyoDevが2022年12月に発表した『様々な国籍の日本在住エンジニアの働き方や給与・技術に関する調査』によると、ITエンジニアの年収は日本企業の約2倍になっていることからも就職に関する難易度の高さを想像することができます。
ITエンジニアの年収(中央値)
- 外資系企業の日本法人:1450万円
- 日本法人のない外国籍企業:1150万円
- 日本企業:750万円
外資系企業の内定倍率は企業によって違いますが内定倍率は200~1,000倍と言われており、当然、TOPレベルの学生や人材が集まり採用枠を競い合うことになるので、就職難易度は非常に高いものとなっています。
- 外資系企業の内定倍率は200~1,000倍と言われている!
外資系企業で働きたい?
また、独立行政法人経済産業研究所が2022年9月に発表したあなたは何割年収が高ければ外資系企業で働きますか?によると、年収が3割アップするだけで71.2%もの人が外資系企業での勤務を希望することが分かります。
先にご紹介したようにITエンジニアの場合のように、年収の中央値が約2倍となっている現状を考えると、大多数の方が外資系企業での勤務を希望することは間違いないため、競争率が高くなっていることが伺えます。
外資系企業での就職を簡単に考えてしまっていました。
実際に数字を追ってみると、どれほど競争率が高い場所を目指そうとしているのか分かりますよね!
大手外資系企業の中途採用条件を知る
外資系企業の競争率について少し知って頂けた中で、続いては留学生の多くが希望する就職先として挙げられているGoogleやAmazonそしてAppleでは、「どのような求人募集が行われているのか?」就職最前線の状況についてご覧になっていただきたいと思います。
大手外資系企業の求人募集要項
職業:Market HR Partner(人事業務)
●必要な条件/経験:
- 人事またはビジネス関連分野の学士号(同等の実務経験も可)
- 7年以上の人事関連業務経験
- 流暢な英語と日本語(話す、書くことができること)
●望ましい経験/スキル:
- 労働法/労使関係に関する知識
- 異なるステークホルダー間での意思決定を推進する能力
- 優れたプロジェクト管理能力、問題解決能力、批判的思考/分析能力、顧客管理能力
- 『Greatな人材』では不十分。『革新的な人材』をGoogleに招くことが求められる仕事とのこと
Amazon
職業:プログラム・マネジャー
●基本条件(下記項目全てに当てはまる方):
- 部門を横断したProjectに参画した経験
- 様々なステークホルダーと調整した経験
- Excel Skill(関数やPivot Tableを使ってデータを可視化できるLevel)
- ビジネスレベルの日本語(ビジネスドキュメント作成・読解、会議運営が出来る)
- ビジネスレベルの英語(読み・書き)
●歓迎条件
- Teamのミッションとバリューに共感していただける方
- 自発的に問題を特定し、リスクを恐れずに行動を取れる方
- 定量的なデータを用いた業務経験
- 問題に取り組むに当たり、まず何が自分にできるか、何をしたら一番解決に向けて早く動けるかを考えるマインドセット
- 以下の何れかの分野で1年以上の業務経験
→生産計画、需要計画、在庫計画の生産管理経験
→新規物流施設・工場の立上業務
→需要予測・購買業務経験 - インクルーシブなカルチャーへの貢献や多様性に富んだグループで働くことに対して前向きであること
- 事業に貢献して頂ける経験豊富な人材を求めているとのこと
Apple
職業:ストア・リーダー
●必要なスキルと能力:
- ロイヤリティを高め、測定可能な結果をもたらすポジティブな顧客体験を推進する実証済みの能力
- 複雑な環境下で、個別のビジネスグループを管理する能力
- 監督するチームにAppleのビジョンを明確に伝えることができる、高いコミュニケーションスキル
●追加条件:
- 顧客との接点がある営業職で5年以上の経験を持ち、リーダーシップを発揮できる方
- 小売業での経験は必須ではない
- Appleのテクノロジーと製品について学ぶ情熱をお持ちの方
- 英語の読み書きができ、流暢に話せる方
- スケジュールに柔軟性がある方。業務上の必要性に応じて、勤務時間を調整します
- 変化する環境でチームのバランスを取りながら冷静沈着に仕事を進めることができる人材を求めているとのこと
難易度の高い外資系企業の募集要項
上記は、比較的にスキルレベルによる制限がないものを選んで掲載してみたいのですが、一般的な日本企業によって募集されているような「未経験者大歓迎!」といったものではなく、かなり高いレベルの職業経験が必要であることがわかります(良かったら他の募集要項もご覧ください)。
つまり、将来、外資系企業での勤務を視野に入れた留学を考えるのであれば、学位の取得はもちろんのことですが、最低でも海外での就業経験つまりキャリアの部分を伸ばしておかなければいけないことがわかります。
- 外資系企業で働くためにはキャリア・経験が必須!
外資系企業へのルートを目指すなら、本当にちゃんとしないといけないですね・・。
その通りです!こうした背景を知らずに留学される方がほとんどなので、しっかりした留学計画を立てないと、本当に今まで積み上げてきたキャリアが全て壊れてしまうので注意が必要です!
出稼ぎ留学・ワーホリは危ない?
外資系を目指している留学生が沢山いらっしゃる中で大きな問題になってきているのが、英語力のないワーキングホリデーについてです。
コロナ以降、海外の急激な人材不足を受け、給料が日本でのアルバイトと比較して海外でのアルバイトのほうが良くなっており、ワーキングホリデーを出稼ぎ感覚で利用される方が増えてきています。
出稼ぎ留学の本当のところ?
最近では、テレビやニュースなどでも『若者の出稼ぎ』を煽るような内容での報道が多数行われ、留学とはかけ離れた『バイトで稼ぐ』ということを主とした案内が行われていることも珍しくなくなってきました。
そうした背景がある中で、『出稼ぎ留学』や『出稼ぎワーキングホリデー』というキーワードだけが目に留まるようになり、渡航先での仕事内容やキャリア育成について忘れてしまうかたが増えてきました。
そこで、以下に『出稼ぎスタイルの留学』で多くの方が就いている職業をまとめてみましたのでご覧になって頂ければと思います。
一般的な職業リスト
- 日本食レストラン
- 農業・収穫作業員
- 皿洗い
- 清掃作業員(深夜勤務等)
- ホテルの清掃員
- 工場の作業員
- 配送員(ウーバー等)
- 介護職
- 建設・工事現場の作業員等
上記の職業リストをご覧になって頂ければ分かると思いますが、上記は日本でもやりたい人を見つけることが困難な職業リストとピタリと重なり人材不足となっている職業で、積極的に外国人労働者の採用が行われています。
以下に、帝国データバンクが発表している『人手不足に対する企業の動向調査』に記載されている日本で人手不足となっている職業リストを記載してみましたのでご覧になってみてください。
日本の人手不足職業(非正社員)
- 飲食店
- 旅館・ホテル
- 各種商品小売
- 娯楽サービス
- 人材派遣・紹介
- 飲食料品小売
- メンテナンス・警備・検査
- 農・林・水産
- 教育サービス
- 専門商品小売
(帝国データバンク:2022年10月21日調べ)
つまり、日本でもやりたい人がいない職業を海外で行うことが、一般的な『出稼ぎ留学』や『出稼ぎワーホリ』の実態となっています。
- 出稼ぎ目的で渡航すると『現地の人がやりたくない仕事』を代わりに請け負うことになる
将来のキャリアに繋がっているか?
ただし、ここで勘違いをして頂きたくないのは、『出稼ぎ留学』や『出稼ぎワーホリ』が良くないものではないという点についてです。
例えば、将来的にレストランを経営したり農家として働くことを希望されていらっしゃったりする場合には、出稼ぎ留学は将来の職業に直結する可能性が高く、海外でキャリア育成を行った経験は生涯に渡り大きな糧となることが考えられます。
特に、日本では高齢化が進み飲食店や農業などでは更に外国人労働者が増えることが予想される中で、海外で同じ外国人として働いたキャリアや経験がある方は、管理職として重宝されることは間違いありません。
つまり、海外で就く職業が将来のビジョンの通過点にあることが、キャリアデザインにとって重要になってくるとお考え頂ければと思います。
外資系を考えているなら要注意!
また、もし本格的なキャリア育成を考え、将来、日本で外資系企業の就職までを視野に入れるのであれば、ワーキングホリデーなどでキャリアの積み上げとならない1~2年のアルバイト期間が、皆様のキャリアにとって大きなブランクになることも視野に入れておいていただければと思います。
特に、英語力などのコミュニケーション能力がないままにワーキングホリデーとして出られてしまいますと、どうしても仕事の選択肢が少なく、必然的に言葉を必要としない『日本食レストランでの皿洗い』や『清掃員』となってしまう可能性が上がってしまいます。
そのため、もし海外でキャリアを積んで帰国後の転職や外資系企業への就職を考えるのであれば、海外でもキャリアに繋がる仕事で働けるだけの英語力(目安:TOEIC 850点以上)を身に付けた上で、仕事を選んでキャリア育成を行っていく必要があります。
- 転職や外資系企業への就職を考えるのであれば仕事を選んでキャリア育成を行っていく必要がある!
日本でも時給が良いアルバイトばかり優先して選んでしまっていました・・。
日本ではアルバイトでも仕事を教えてくれたり、責任のあるポジションを任せてくれることがあります。
ただし、海外では『数ヵ月後には帰国してしまう外国人労働者』という扱いを受けることも忘れないでくださいね!
外資系企業就職ルート
それでは皆様に、外資系企業に就職するための留学について、そのモデルルートを案内させていただきたいと思います。
今回は、皆様も感じていらっしゃるであろう、就職難易度がMAXレベルに高いGoogleへの就職を意識したものを、簡単にですが案内させていただきたいと思います。
Googleへの就職留学ルート
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- Step.1 自分のキャリアを見つめなおす
- キャリアが無ければ外資系企業への就職は留学をしてもかなり厳しいです
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- Step.2 留学計画を立てる
- キャリアと将来のビジョンに合わせて留学計画を作ります
(海外でのキャリア育成は日本の何倍も費用と時間が必須です)
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- Step.3 留学先でキャリア育成
- 学位やインターンまでは最低限行えるようにスケジューリングをします
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- Step.4 卒業後に就職(数年)
- 学校卒業後には海外企業でキャリア育成のために正社員就職をします
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- Step.5 帰国後に外資系企業の面接を受ける
- 最低でも3~4年間を目安にして、海外でのキャリア育成を行ってから帰国します
(3~4年のキャリアでは短い可能性も高いですが、上手くキャリア育成すれば就職ルートは残せます)
- 留学中は必ずキャリア育成や経験が積める環境を目指す!
外資系を目指したいと思うので、中途半端な留学をすることはやめます!
海外でキャリアを積めれば将来的にも安定するので、趣味ややりたいこともできるようになります!
留学で外資系企業への就職はかなり難しい?まとめ
ここでは外資系企業への就職について具体的なデータや募集要項をご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか?
日本人の多くはキャリアデザインやキャリア育成ということに関しての知識がなく、「留学やワーキングホリデーに行きたい!」という思いだけが先行して、全てを置き去りにしてしまうケースがどうしても目立ちます。
「留学して失敗だった・・」や「留学前に知りたかった・・」とは言わせたくない!
もし、「留学中に周りの友人たちがキャリアを積んでいくことを怖い!」と思ったり、外資系企業の就職をお考えになっていらっしゃいましたら、キャリア育成について見直して頂ければと思います。