Co-op経験者が語る社会人留学のホンネ

2022-08-24

大学や専門学校などを卒業し働き始めた社会人の皆さんからお問い合わせを頂くと、『Co-op(コープ)』プログラムを検討していますとご連絡頂くことがあります。

そもそも「Co-opプログラムとは何なのか？」「なぜ社会人が興味を持つのか？」、そして、このプログラムで渡航した社会人は帰国後にどんなルートを歩んでいるのでしょうか？

実際にCo-opプログラムを経験した筆者の実体験も含めて、悩むことが多い社会人の留学について、「実際のところCo-opプログラムは有効なのかどうか？」についてもお話していきたいと思います。

そもそもCo-op留学とは？

まず初めにCo-opプログラムの基礎的な知識に関してのお話からになりますが、Co-opプログラムというのはカナダ独自の留学方法であり、日本でいわゆる短大・専門学校に分類されるカレッジ以上のスクールで受講できるプログラムになります。

またCo-opプログラムの特徴として、プログラムの半分の期間は座学で専門知識を学習し、残りの半分は実際に現地企業に就職し、実践で働きながら専門知識を身に付けていく構成となっています。

カナダでは、一般的に就労ビザやワーキングホリデービザを所持していない限りは働くことはできないのですが、Co-opプログラムは学生ビザでも有給で就労経験が積めるため、日本人大学生から大きな注目を集めています。

Co-opプログラムは学生ビザでも有給で就労経験が可能！

Co-opプログラムはインターン？

よくCo-opプログラムの実習期間をインターンシップと表現される方がいらっしゃいますが、Co-opプログラムは日本のインターンのように企業見学やお仕事体験とは全くことなり、自分自身で求人を探し、履歴書やPRを提出、書類選考後、面接を受け、晴れて採用という様に、採用までにやることは就職活動と全く変わりがありません。

言うまでもないと思いますが、海外就職は軽く日本の何百倍も難しいものとなっているため、Co-opに参加される学生は、面接対策をしっかり行ったり、幾つもの企業に対しアプローチを重ねたりと、日本の就職活動の域を超えた採用に向けた努力を積み重ねています。

そのため、プログラムを経験された留学生は海外での就職活動や海外就労の経験が出来るため『自信』を付けて帰国されることが多く、就職活動に挑む大学生や社会人にとって将来を左右されるような大きな財産となることも珍しくありません。

Co-opプログラムは実際に海外で就職活動をすることになる
留学生は就職や働くことに対して大きな自信を身に付けることができる！

Co-opプログラムは万能ではない？

しかしながら、残念ながら中には「思ったような成果を得ることができなかった・・」という方もいらっしゃいます。

というのは、元々スキルや就労経験がない方の場合、Co-opプログラムの座学期間で学んだ内容だけが就職活動でアピールできるところとなってしまうため、就職活動は困難を極めることになってしまいます。

特に、大学生の多くは海外就職時に活かせるような経験を持っていない方がほとんどなため、「高層ビルのオフィスでスーツを着て・・」という理想をイメージされていると、実際は、レストランのウェイターや皿洗い、またはホテルやオフィスの清掃担当となってしまい、ギャップが大きくなってしまうことも珍しくありません。

一方で、就職経験のある社会人の場合、日本での経験を海外で活かせることもあるため、Co-opプログラムで大きく飛躍されることになることもあります。

就労経験が無い方の場合、就職活動が難航することが多い
就職経験のある社会人は大学生などと比べて有利に就職活動が行える！

留学生

Co-opプログラムって有給インターンシップもできるし、万能なものだと思っていたんですが、実は、違うんですね・・。

COCOA

就職先の企業は最低賃金以上で給料を支払う義務があるため、日本で大学生が行っている企業インターンのようなウェルカムモードとは全く違うので注意です！

社会人留学の現実とは？

社会人で留学を検討される方の多くは、長くて2～4年、短いと数ヵ月の留学を検討され、「海外で帰国後の就職活動に活かせるスキルや経験を身に付けて帰ってきたい！」とお考えの方が多いように見受けます。

先程もお話しさせて頂きました通り、「経験や働くためのスキルを身に付けるにはCo-opほど効率の良い留学方法はないのではないか？」と思えるほどCo-opプログラムは優秀なものになってるのですが、続いて社会人の皆様に必ず考えておいて頂きたいのは、『留学期間』と『何を学ぶのか？(方向性)』についてです。

Co-opの留学期間はどう設定する？

社会人の皆様には、まず帰国後の就職活動(中途採用)について考えておいて頂きたいと思います。

求人広告などでは『業界経験3年以上』『営業経験5年以上歓迎』なんていう採用条件をよく目にされるかと思うのですが、働いた場所が海外になるとは言え、6ヵ月～1年間程度、働いただけの職歴を「日本の企業がどれくらい評価してくれるのか？」という点についてイメージしてみてください。

正直、海外で働くだけであれば、Co-opプログラムやワーキングホリデープログラムを利用して、高校生や大学生でもできるのが現実で、社会人ともなれば少なくとも「単純に海外で働いてきた・・」以上のことを求められるのは言うまでもありません。

そのため、もしかすると皆様が想定していらっしゃる留学期間が短すぎるものになっている可能性も否定できないので注意が必要です。

Co-opでのキャリアチェンジは大変？

特にキャリアチェンジを考えられている社会人の場合、知識や経験がゼロから始まってしまうと日本で学ぶよりもかなり時間が掛かってしまうと考えておいてください。

基本的に『英語で何かを学ぶ』ということは皆様が思っていらっしゃる何倍も難しく、知識として蓄えることは簡単ではありません。

そのため、留学を検討されていらっしゃる方々からは「プログラミングスキルを得るにはどれくらいの期間が掛かりますか？」というご質問を頂くことも少なくないのですが、スクールが提供するプログラミングコースの期間としては2年であったとしても、実際に、スキルと知識を身に付けて仕事に活かせるレベルに到達させることができるかどうかは人によります。

正直、TOEIC900点レベルの方でもCo-opプログラムのレッスンについていくことに必死で、寝る間を惜しんで勉強されているケースも少なくないため、日本の学校などの期間も参考にしながらスキル取得に十分な留学期間の設定をオススメいたします。

留学期間が短すぎるものになっていないか注意
キャリアチェンジを海外で希望する際は留学期間に注意！

Co-opの学ぶ内容や方向性はどうする？

次に、社会人留学を希望される方は「必ず方向性を定めてから留学してください！」ということを忘れないで頂きたいと思います(大学生も同じです)。

例えば、大学卒業後、新卒入社3年働くと26歳の年に留学することになるのですが、留学期間が2年だったとして帰国するは留学準備期間などを考えると28歳の年になり、就職活動に数ヵ月掛かったとして実際に日本で勤務されることになるのは29歳になってしまうことも考えられます。

正直、29歳となると30歳がもう目と鼻の先にあるため、企業から求められるスキルレベルは高いものになってしまったり、20代前半とは違って即戦力人材の募集や周りの若い人たちを引っ張っていくようなリーダーシップなどが求められるようになるなど状況がガラリと変わってきてしまいます。

そのため、Co-op留学を希望される社会人の皆様は、必ず留学前に学ぶ内容や将来の方向性を決定し、現実と向き合ったものにする必要があるとお考え下さい。

30歳になると求められるスキルや内容が変わってきてしまう
社会人のCo-op留学は渡航前に学ぶ内容や将来の方向性を決定し現実と向き合ったものにする

留学生

子供のころから興味のあったデザイン系で、就労体験をつんで転職に活かしたいと思っていますが可能ですか？

COCOA

もしそのキャリアチェンジが日本で難しい場合は、Co-op留学で実現させることはかなり難しいです。
厳しいかも知れませんが、現在のご自身の状況と理想のギャップについても明確にしておいてください！

社会人のCo-op留学に関して

社会人のCo-op留学について、キャリアチェンジや永住権の取得、それにワーキングホリデービザを残しておく必要性などをご紹介しています。是非、ご覧になってみてください！

社会人のカナダCo-op留学ってぶっちゃけどうなの？

理想の社会人留学

では、そんな中で社会人が留学するのであれば、どんなプランを検討するのが良いのでしょうか？

まずはご自身の留学後のビジョンやキャリアイメージをはっきり持ち、「何をするために何を得るために留学をされるのか？」を考えてみて下さい。

もしかしたら、留学に行かなくても目指せる将来だったり、留学というのは名目だけで、実は、海外旅行でも代用できてしまうようなリフレッシュだけが目的となっているかも知れません。

社会人留学はキャリア継続が良い？

社会人留学は学生時代の留学とは違い社会的に失敗が許されにくい留学となるため、希望者は広い視野を持って将来に繋がるルートを考えていく必要があります。

その中で、最も将来のビジョンに繋がりやすく活かしやすい分野というのは、これまでご自身が修めてこられた学位や職業経験がある分野です。

例えば、これまで機械の販売員として働いてこられた方が「私の夢は医者だったので海外で医師になるために留学したいです！」と聞くと、「えっ！？海外で医者を目指すの？」となるのではないでしょうか？

それもそのはず、医師は日本で目指すのも難しい職業であるにもかかわらず、それを海外で目指そうというのですから、普通に考えてその道がイバラの道になっていため、留学の成功率としては低いものになっていると言わざるを得ません。

しかし、既に日本で医師として活躍されていらっしゃる方が「英語力を身に付けて国境なき医師団に挑戦する！」というのであれば、その可能性が全く違ってくるのを感じて頂けると思います。

中途採用では経験分野や勤務年数、スキルなどが重視されることも忘れない
海外就職を目指しながら帰国後のキャリアも意識しておく

キャリアチェンジが必須の場合は？

中には、今までの業界や職種が嫌なんだと言われる方もいらっしゃるかと思いが、その場合でも、例えば「今までの営業経験を活かして別の業界の営業担当として頑張る！」や「同じ業界でも営業から営業事務を目指す！」など、営業としての経験を無駄にしない選択肢を視野にいれる方法があります。

自身がこれまで培ってきた経験や学位というものは、「無駄にしよう！」と思えばいくらでも無駄にできるものなのですが、「何かに活かそう！」と思うと簡単なことではありません。

そのため、自分のやりたいことばかりを追いかけるのではなくて、「自分には何ができて何ができないのか？」など得意分野を明確にした上で、将来の方向性を決定して頂ければと思います。

しかしながら、本格的な将来のキャリアデザインまでの相談に乗ることは非常に難易度が高く、一般的な留学エージェントではサポート範囲を大きく超えてしまっているため、海外を視野に入れた就職コンサルティングの対応ができるカウンセラーというのは本当に数えるほどしかいません。

Co-op留学でのキャリアチェンジは、ご相談先によって本当に良くも悪くもなってしまうものなので、ご注意いただければと思います。

キャリアチェンジを目指す留学は難易度が非常に高い
キャリアデザインをサポートできる留学エージェントはほとんどない

Co-op留学で英語力アップは期待しない？

最後に余談ではありますが、Co-op留学における英語力アップに関してご紹介させてください。

Co-opプログラムはカレッジ以上が提供している留学プログラムなので、入学にはIELTS5.5～6.0(TOEIC700点以上)程度の英語力は最低でも必須になります。

そのため、「Co-op留学で英語力をアップさせて帰国後の就職活動に活かそう！」というレベルではなく、自身の持っている英語力を使ってビジネススキルの向上や職業経験を積み上げることに特化したプログラムとなっています。

時折、「英語力アップのためにCo-op留学がしたいです！」という方もいらっしゃるのですが、Co-op留学は英語学習を目指した留学プログラムでは無いので注意しておいて頂ければと思います。

Co-op留学は英語力アップを目指すプログラムではない！

留学生

転職ばかりを考えてしまっていたのですが、現実の厳しさを事前に知れて良かったです・・。

COCOA

簡単に留学後の転職を薦める人もいますが、実際、それで泣きを見ることになった人は何十万人といるので注意してください。

社会人の留学目的あるある

「何のために留学にいくの？」と言われて即答できない方は必見。もしあなたの留学がこの3つの目的に当てはまってしまっていたらヤバいかも知れません！？

社会人の留学目的がこの3つならリアルにヤバいです！

失敗しない社会人留学

さて、ここまでCo-op留学の現実についてお伝えして参りましたが、社会人留学を検討する際のポイントについておさらいしていきましょう！

プランニングのポイント

Step.1 留学の必要性・方向性を考える

まずは、何のための留学なのか、なぜ留学したいのか、留学の必要はあるのかなど、今一度ご自身が留学を検討されるきっかけとなったことについて思い返してみてください。
Step.2 留学後のキャリアやビジョンは？

留学を経たご自身の帰国後のキャリアプランはどのようなものでしょうか？
Step.3 留学の期間と予算

人によってはどうしても期間や予算に限りが出てしまいますので、ご自身が最大で検討できる範囲を把握しておきましょう！
Step.4 何を何処でどれだけ学ぶ？

どこの国で、どの学校で、どんなプログラムで学ぶのか検討していきます。
Step.5 具体的な留学プランニングや準備

期間や内容が検討出来たら、渡航のための準備を始めていきます。