社会人のIT転職留学が失敗しやすい理由とは?
数年前であれば誰も口にすることがなかったIT分野への転職を目指した留学ですが、ここ数年、社会人留学相談者の多くから『将来の選択肢の1つ』として挙げて頂けるようになりました。
しかしながら、IT分野を希望されるかたが増えたものの、今度は、転職を失敗するケースが数多く報告されるようになってしまいました。
そこでここでは、海外でIT分野を目指す皆様と転職を考えていらっしゃる皆様のために、『社会人のIT転職留学が失敗しやすい理由』と「どうすればIT留学を成功させることができるのか?」という点について詳しく紹介させていただければと思います。
世界の留学トレンドはSTEM分野へ
まず、皆様には「世界の留学トレンドが一体どのようなものになっているのか?」というお話をさせていただきたいと思います。
世界のトレンドはどうなっている?
現在、世界の留学トレンドは『STEM分野』と呼ばれる教育分野に集中してきています。
ご存知のかたも多い思いますが、STEM分野とは科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・数学(Mathematics)の頭文字を取った教育分野で、世界的に人材が不足している職業へとつながる教育分野として、オバマ元アメリカ大統領が言及したことで世界的に広まりました。
例えば、2019~2020年度においてアメリカに留学する生徒の約半分の50.4%はSTEM分野への進学を目指し、国別に見るとイランやインド、バングラデシュの学生の約80%はSTEM分野へと進学しています。
参照:applyboard
●日本人の留学は?
しかしながら、日本人のトレンドは、ほとんどのかたが半年以内の『短期語学留学』というのが現実で、海外のカレッジや大学でSTEM分野を学んだ経験のある人を見つけるのは『至難の業』という状況となっています。
ただし、逆を返すと、海外でSTEM分野を学んできた学生は日本では貴重な人材という扱いになるので、「留学の狙い目になっている!」ともいえます。
- 世界の留学と日本人の留学のトレンドは大きく違っている!
私の周りは短期の語学留学ばっかりです!
海外でSTEM系に進学している人を見つけるのは本当に難しいので、もし見つけたら仲良くなっちゃいましょう!
海外でのIT転職が難しい理由とは?
さて、それではいよいよ本題である『社会人のIT転職留学が失敗しやすい理由』について詳しく解説させていただきたいと思います。
社会人のIT転職留学が失敗しやすい理由とは?
海外でIT関連の転職を考えていらっしゃる社会人の皆様の特徴として、「留学中に働きながら勉強したらできるようになるだろう!」というものがあります。
こちらにいらっしゃる皆様の中にも、「IT分野の人材は世界的に人材不足だと言われているから、少し勉強さえしておけば転職もできるだろう?」と考えているかたもいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな皆様には、是非、日本のデジタル分野が世界的にどのように扱われているのか?、現実を知って頂きたいと思います。
- 医者や弁護士のように免許がないんだからITは少し勉強すればいけるんじゃないの?
IT後進国の日本?
2022年度、スイスの国際経営開発研究所(IMD)の世界デジタル競争力ランキングによると日本の順位は63ヵ国中29位にまで落ち込んでおり、今後さらに低下していくことが予想されています。
また、人材部門のデジタル技術スキル部門に至っては、63ヵ国中でなんと62位、海外経験部門では最下位にランキングされてしまっており、多くのかたが「この国よりは進んでいるよね?」と考えると思われるモンゴルやインドネシア、それにフィリピンと言った発展途上とされる国々よりも圧倒的に下位にランク付けされています。
なお、こちらは余談ではありますが、最下位は世界一治安の悪い国と呼ばれるベネズエラとなっており、ベネズエラでは政治や経済は完全に崩壊していると言われ、2018年には通貨の貨幣価値が無くなり10万分の1に切り下げ、2021年にはさらに100万分の1の単位にするデノミが行われる国でもあります。
ただし、発想を逆転させるのであれば、これほどデジタル分野の人材が不足している国は日本以外にはないため、IT系の求人が数多くあるとお考えいただければと思います。
参照:World Digital Competitiveness Ranking
- 日本はデジタルスキルが世界63ヵ国中で62位!
英語圏の国はIT先進国!
英語圏の国々は日本とは逆に『IT先進国』と呼ばれ、毎年、世界中から優秀な人材がIT関連の分野を学ぶために集まっています。
そのため、当然のことながら、IT関連の学位や就労実績を持たない日本人にはITやテック系の就職先が残されているはずもなく、未経験での採用はほとんど前例がないというのが現状です。
また、カレッジや大学に通いIT系の学位を修めることでIT系の採用を期待したところではあるのですが、人気のスクールには入学希望者が世界中から殺到しており、入学許可は既に他校でIT系の学位を取得していたり、一定以上のプログラミングコードが書ける人ばかりとなっています。
日本の専門学校や初心者用のパソコンスクールに通うレベルとは全く違うレベルとなっており、授業速度もかなり速いため、進学を希望されるかたは注意しておく必要があります。
- 英語圏のIT系スクールのレベルはかなり高い!
求められるのはコミュニケーション力?
そうした中で、日本人のIT留学に対して大きなハードルとなっているものが、コミュニケーション能力です。
プログラミングと言えば1人黙々と作れば良いように考える人も多いですが、就職時に求められる人材というのは、顧客が欲しがるシステムやアプリなどを的確に作り上げる能力だったりします。
そのため、どうしても顧客のニーズを理解するための実務レベルの英語力が求められるケースが多く、TOEIC 850点以上が最低ラインとなっています(実際には英語が話せて当然なのでスコアなどは求められることはありません)。
特に、IT系を考えている日本人の多くはコミュニケーションについて苦手意識を持っていることが多いため、海外でIT分野への就職や転職は非常に難しいものとなっています。
- IT系での就職にもコミュニケーション力が求められる!
2022 | 国 | 2021 | 2020 | 2019 |
---|---|---|---|---|
1 | デンマーク | 4 | 3 | 4 |
2 | アメリカ | 1 | 1 | 1 |
3 | スウェーデン | 3 | 4 | 3 |
4 | シンガポール | 5 | 2 | 2 |
5 | スイス | 6 | 6 | 5 |
6 | オランダ | 7 | 7 | 6 |
7 | フィンランド | 11 | 10 | 7 |
8 | 韓国 | 12 | 8 | 10 |
9 | 香港 | 2 | 5 | 8 |
10 | カナダ | 13 | 12 | 11 |
11 | 台湾 | 8 | 11 | 13 |
12 | ノルウェー | 9 | 9 | 9 |
13 | UAE | 10 | 14 | 12 |
14 | オーストラリア | 20 | 15 | 14 |
15 | イスラエル | 17 | 19 | 16 |
16 | イギリス | 14 | 13 | 15 |
17 | 中国 | 15 | 16 | 22 |
18 | オーストリア | 16 | 17 | 20 |
19 | ドイツ | 18 | 18 | 17 |
20 | エストニア | 25 | 21 | 29 |
21 | アイスランド | 21 | 23 | 27 |
22 | フランス | 24 | 24 | 24 |
23 | ベルギー | 26 | 25 | 25 |
24 | アイルランド | 19 | 20 | 19 |
25 | リトアニア | 30 | 29 | 30 |
26 | カタール | 29 | 30 | 31 |
27 | ニュージーランド | 23 | 22 | 18 |
28 | スペイン | 31 | 33 | 28 |
29 | 日本 | 28 | 27 | 23 |
30 | ルクセンブルク | 22 | 28 | 21 |
31 | マレーシア | 27 | 26 | 26 |
32 | バーレーン | - | - | - |
33 | チェコ | 33 | 35 | 37 |
34 | ラトビア | 37 | 38 | 36 |
35 | サウジアラビア | 36 | 34 | 39 |
36 | カザフスタン | 32 | 36 | 35 |
37 | スロベニア | 35 | 31 | 32 |
38 | ポルトガル | 34 | 37 | 34 |
39 | イタリア | 40 | 42 | 41 |
40 | タイ | 38 | 39 | 40 |
41 | チリ | 39 | 41 | 42 |
42 | ハンガリー | 45 | 47 | 43 |
43 | クロアチア | 55 | 52 | 51 |
44 | インド | 46 | 48 | 44 |
45 | キプロス | 43 | 40 | 54 |
46 | ポーランド | 41 | 32 | 33 |
47 | スロバキア | 47 | 50 | 47 |
48 | ブルガリア | 52 | 45 | 45 |
49 | ロシア | 50 | 43 | 38 |
50 | ギリシャ | 44 | 46 | 53 |
51 | インドネシア | 53 | 56 | 56 |
52 | ブラジル | 51 | 51 | 57 |
53 | ジョーダン | 49 | 53 | 50 |
54 | トルコ | 48 | 44 | 52 |
55 | メキシコ | 56 | 54 | 49 |
56 | フィリピン | 58 | 57 | 55 |
57 | ペルー | 57 | 55 | 61 |
58 | 南アフリカ | 60 | 60 | 48 |
59 | アルゼンチン | 61 | 59 | 59 |
60 | コロンビア | 59 | 61 | 58 |
61 | ボツワナ | 63 | - | - |
62 | モンゴル | 62 | 62 | 62 |
63 | ベネゼエラ | 63 | 63 | 63 |
- 日本のデジタル部門の競争力は毎年のように下がっている・・
日本って、IT技術が発展してる国なんだと思っていました!
以前は、世界でもトップレベルだったのですが、ここ数年でだんだんと下位に沈んでいます・・。
IT留学が向いている人とは?
しかしながら、「難しい!」と言われながらも社会人の皆様の中にはIT留学を成功させる方もいらっしゃいます。
そこで続いては、『IT転職留学に向いている社会人ってどんな人?』というお話をさせていただきたいと思います。
そもそもプログラミング経験者!
海外のIT転職留学に最も向いている人というのは、そもそも日本でSEやプログラマーとして活躍されており、ある程度のものならば1から10まで全て1人で作り上げることができる人です。
「今更、学校に通ってITを学ぶなんて・・」と思っていらっしゃるくらいのエンジニアさんであれば、IT留学を経て、留学先の文化や習慣に慣れることで、留学先でも活躍できるチャンスが広がります!
ただし、30代中盤以降になるとIT技術よりも海外に適応する能力が落ちてしまうので、IT経験者の中でも特に20代中盤までの方にオススメです。
- 20代中盤までのIT経験者にIT留学はオススメ!
応用能力が高い人!
次に、『応用能力が高い人』にもIT留学はオススメです。
IT分野というのは、他の教科のように「良い点数を取ったり資格を取得したりすれば良い!」というものとは大きく違って、「学んだ内容を元にして、学んだこと以外のことを応用的に行う!」ということが主になります。
医師免許や弁護士資格のように、免許や資格があるだけで一定以上の評価が得られるようなことはなく、常に応用力を試されることになります。
そのため、数学や国語など学校で学んだことを即実践で活かすことが得意な人には、IT留学は向いています!
- 応用能力が高い人にはIT留学がオススメ!
座ったままの生活に耐えられる人!
次に、IT留学を考える方の中にはInstagramerやYouTuberのような華やかなイメージを持つ方も多いのですが、正直、プログラマーやITエンジニアの仕事はもっと根暗に見える分野になります。
そのため、外にガンガン遊びに行くというよりも、家に引きこもって10時間でも20時間でも続けてパソコンの前に座っていられる人のほうが圧倒的に適性があります。
特に、「ウェブデザイナーになれば良いのでは?」と考える人も多いのですが、ウェブデザイナー関連の職業はAIの登場で、求められるスキルレベルがかなり上がってしまっているので注意が必要です。
- 部屋にこもって仕事しても苦じゃない人にIT留学はオススメ!
長期間の留学ができる人!
最後に、『長期間の留学に耐えられる人』にもIT留学はオススメです。
IT留学を成功させるには半年や1年程度ではあまりにも期間が短すぎて、多くの場合において学びが中途半端になってしまったり、ビジネスレベルで通用するレベルまでスキルアップできなかったりしてしまいます。
例えば、こちらはエンジニアではありませんが、天才経営者であるソフトバンクの孫正義さんでさえ5年間の留学経験があることをイメージしておいて頂ければと思います。
- 長期間の留学に耐えられる人にIT留学はオススメ!
孫さんでも5年間の留学経験があるんですね・・。
そうなんです!
そもそも1~2年でスキルを伸ばすことって本当に難しいことだと覚えておくと良いです!
IT転職留学を目指す手順は?
さて、これまでIT転職留学について様々なお話をさせていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
それでは最後に、こちらにいらっしゃる社会人の皆様のために、簡単ではありますが、IT転職留学を目指すためのルートについてフローチャートをお作りさせていただきましたのでご覧になっていただければと思います。
IT転職留学の理想的なルート
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- Step.1 留学相談前にプログラミングを見てみる
- パソコン画面上に「こんにちは!」と表示するだけでも何日もかかる方がいらっしゃいます(コンピュータ言語は問いません)
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- Step.2 プログラミングに興味が有った
- 時間を忘れてプログラミングにのめり込んでいれば適性ありです!
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- Step.3 IT留学の専門家に相談
- IT留学について専門的な知識を持っている会社はほとんどありません。 必要に応じて宜しければココア留学にもご相談ください
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- Step.4 実際に渡航計画を立てる
- IT留学に向いている人の特徴として留学の準備やビザなどの公的な書類の準備が下手という人が多いです。
苦手な分野はプロに任せることをオススメいたします
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- Step.5 留学先で英語力を伸ばす
- 兎にも角にも「まずは英語力から!」これ以降、英語を勉強する機会はなくなるので必死に学びます
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- Step.6 IT関連の分野で就職へ
- 日本でも海外でも構いません。留学生の多くは学生のうちにスカウトを受け、将来の就職先で働き始めることになります
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- Step.7 IT関連の分野で就職へ
- 日本でも海外でも構いません。留学生の多くは学生のうちにスカウトを受け、将来の就職先で働き始めることになります
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- Step.8 海外永住権の取得も
- IT分野に進学すると海外で永住権取得の可能性は大幅に上がります。
将来の生活拠点を留学先にすることも視野に入れることが可能です
- IT留学の先には海外永住権の取得も見えてきます!
IT留学に興味があるので相談したいです!
IT系の留学相談はかなり難易度が高いので、間違ってもIT経験の無い人に相談するのだけは絶対にやめてくださいね!
社会人のIT転職留学が失敗しやすい理由とは?まとめ
私自身は、コンピューター言語としてはHTML・CSS・JavaScript・VBA・UWSC・Python・GASなどを業務レベルで使うことができる程度なので、『一般的レベルのプログラマー』だとお考え下さい。
ただ、一般レベルのプログラマーレベルだからこそ、「海外で成功されているプログラマーさんは凄いな!」と思ってしまいますし、やはり海外でITを学ぶことに対するハードルの高さを感じずにはいられません。
海外のIT系で成功をすると、日本で稼ぐ何倍もの好待遇での雇用されることになったり、日本にいては届くことがなかった世界へと入っていくことも可能になります。
そのため、世界中の人たちが競い合い、奪い合っているポジションでもありますので、もし「我こそは!」という方がいらっしゃいましたら、是非、IT留学を視野に入れて頂ければと思います。
ただし注意して頂きたいのは、IT分野に精通した知識が無い方がIT系の留学を作って滅茶苦茶になってしまっているケースをよく目にするので、必ず、専門的な知識を持っている人に相談することだけは忘れないようにして頂ければと思います。