私は留年をしてでも留学すべき?本音で語ります!
大学生の皆様から「私は海外留学に行きたいという夢があるのですが、卒業が遅れることが心配です。留年しても海外留学に行く価値はあるのでしょうか?」と言うご相談をお受けすることがございます。
今回はそんな大学生の皆様の留学と就職、そして留年の関係についてキャリア育成のプロの立場から詳しくご説明させていただきたいと思います。
そもそも留年と休学を勘違いしないで!
そもそも多くの方が留年と休学を混同されていらっしゃるケースが多いので、まずは似ているけど大きく違う2つの違いからご紹介させて頂きたいと思います。
特に、ポスト団塊ジュニア世代とよばれる1982年以前に生まれた世代の人たちの中には、留年と休学の意味を混同していることが多く、そのどちらにも強いマイナスイメージを持っていらっしゃる方も少なくないので注意が必要です。
そこでまずは留年と休学の定義についてご説明させていただきますので以下をご覧ください。
休学とは?
休学とは学校に在籍する学生が、病気や留学などを理由にして学校長の許可を受け長期間の休暇を取ることを指します。
休学する理由としては、経済的な問題や留学、病気やケガまたは学業不振や精神的な要因で取得するケースが多いです。
- 休学は学校の許可を受けて一定期間の休みを取得する制度
留年とは?
留年とは学生が卒業や進学ができず同じ学年にとどまることを指し、多くの場合において成績不振や出席率の低さにより留年が決定します。
また留年する理由としては、サークルや部活動に熱中してしまったり、授業についていけなかったりなどが要因となっていることが多いです。
- 留年は学業不振などが要因で学校から進級や卒業が認められず同学年に留まること
休学と留年の違いとは?
共に『進級できない』という意味では同じなのですが、留年は休学と異なり、多くの場合において学校に在籍しながらも学力が足りなかったり、学校を休むことが多くなるなどして単位を履修することができず進学ができないことが要因なため、状況が大きくことなります。
そのため一般的には休学にはマイナスのイメージはありませんが、理由が不明確な留年の場合は、就職活動においてマイナスのイメージがどうしても残ってしまうこともあります。
- 一般的に休学にはマイナスイメージがなく、留年にマイナスイメージが強いことが多い
休学・留年は就職活動に影響なし?
しかしながら、近年では躁うつ病などを代表とした精神病により休学するケースも数多く報告されているため、休学といっても企業側からすると採用に対して大きな不安材料になるため、面接時に休学内容を細かく聞いてくるケースも珍しくありません。
一方で留年の場合は、履歴書には入学年度と卒業年度が必要になるだけで、『留年』と記載する必要がないため、書面上は注意して見ない限りは気づかなかったり、休学と同じような見た目になったりするため、就職時のマイナス影響は大きく軽減されています。
就職活動では、特に「学生時代に起きたマイナスなことを、どのようにしてプラスにしたか?(問題解決能力)」が大手企業やITベンチャー企業などにおいて高く評価される傾向があるため、休学・留年をしてしまったことに対して悩むことは一切ありません。
- 休学・留年は就職活動に大きなマイナス影響はない!
- 就職活動では「どのようにしてマイナスを乗り越えたか?」が評価される!
休学とか留年って悪いことだと思っていました。
最近では、休学とか留年に対する評価が大きく変わっているので、全然、気にしなくても大丈夫ですよ!
留年のデメリットはお金なの!?
休学や留年について、コロナの影響で通学ができなかったり、授業を受けることができなかった人が世界中に沢山でてしまったこともあり、就職活動のマイナスイメージが本当に無くなってきました。
しかしながら、ここで注意して頂きたいのは、休学と留年では『学費』が大きく異なり、留年の場合には大きなデメリットが存在しています。
留年は学費納付が必須!
休学と留年の最大の違いとして『学費の納付をするかどうか?』と言う大きな違いがあります。
休学の多くは学校側に事前に申請することで、学校側から許可を得た休暇を取ることになるので、その多くの場合において学費は減額されたり免除されたりします。
しかしその一方で、留年の場合は、「学校に在籍して授業を受ける機会があったにもかかわらず卒業(進級)できなかった!」という形になるため、当然、学費は全額納付する必要があります。
そのため、学校によっては1年間で100~200万円の学費納付が必要になっていたり、学生によっては学生寮などの滞在費や交通費なども別途必要になっているケースがあったりするため、お財布事情としては休学と留年は大きく異なっています。
- 休学は学費の減額や免除される可能性がある!
- 留年は学費を全額納付する必要がある!
留年と休学ってお金の面で大きく違うんですね!
費用にも大きく差が出るかもしれないので、留年を考えているかたは必ず事前に学校に相談してみましょう!
それでも留年して留学する?
さて皆様には、『留年と休学の違い』そして『留年時の費用的デメリット』について知っていただけたところで、続いては「留年しても留学に出るべきか?」と言うお話をさせていただきたいと思います。
留年して留学ってどういうこと?
留学を希望される学生の中には、「休学の申請時期を逃してしまったため、留年してでも今年中に留学に行きたい!」という風におっしゃられる方も沢山います。
「留年してまで留学に出たい!」という理由は様々ですが、例えば、就職活動はやってみたものの自分が希望する業種で内定を取ることできなかったり、インターンシップや実習などで職業体験をした結果、希望する職業とは大きくことなっていることに気づいてしまったりというケースです。
こうしたケースでは休学するにしても申請期間が間に合いませんし、就職活動を続けるにしても将来の方向性や目標を見失っていたり、就職を考えると気持ちが下がったりして意欲がついてこないことがほとんどです。
そこで、留年をしてでも海外留学を行うことで、来年度の就職活動への時間稼ぎをしたり、新しいスキルを身に付けて就職希望業界や業種を変更したりということを考える学生が増えています。
新卒枠は卒業後3年ですか?
また、政府や経団連の発表によると『卒業後3年間は新卒枠で応募が可能』となっていますが、一部の企業では新卒での応募が可能となっていても入社後の対応が違うなど、やはり在学中と既卒の新卒枠での就職活動は採用する側からみても状況が異なっているのは明らかです。
そこで、このまま学校を卒業してしまうと新卒枠で就職活動を行う機会がなくなってしまうと考え、留年を希望される学生も増えてきています。
- 新卒枠で就職活動を行う機会を失ってしまう可能性があるため留年を選択する学生もいる!
留年・留学のデメリットを考える
しかしながら、先にもご説明させて頂きました通り、休学申請のタイミングを逃してしまった学生が留年すると「学費を全額納付しなければいけない!」というデメリットは必ずついてくることになります。
つまり、留年して留学に出ると言う事は、大学3回生であれば3回生の学費を全て納付した上で、納付した大学の授業に参加することなく他の学校に通う留学に出ることを意味します。
これは、金銭的な面を考えると非常に大きなマイナスになることは言うまでもないため、事前に考えておく必要があります。
- 留年しての留学は費用的に大きなマイナスが出てしまう!
留年してまで留学する価値は?
なかなかメリットが見いだせない留年しての海外留学についてですが、例えば、留年時に必要になる学費が100万円だとして、留学費用が生活費を含めて1年間で250万円になるとすると、合わせて年間350万円が必要になることが分かります。
つまり、留年した留学生は少なくとも350万円分の価値がある行動を留学先で行ってくる必要があるのですが、単純に「海外でアルバイトしてきました!」や「遊んできました!」ではいけないことは、何となくイメージできるかと思います。
正直、「留学期間中に何をするのか?」で大きく留学の価値が変わってきてしまうのですが、例えば、「海外企業でも就職できるようになる!」や「最新のIT技術を身に付けて帰国する!」というところまでやってくると、100万円どころか1,000万円や2,000万円の価値は軽く超えることになります。
しかしながら、学費を無駄に払う必要はありませんので、学生の皆様が留学について考えられる場合、できるだけ留年ではなく休学を選択することを考えて頂いて、どうしても休学が難しい場合にのみ留年を選択するようにしてください。
- 休学が難しい場合にのみ留年を選択する!
産業 | 応募可能 としたい |
年齢によって 応募可能としたい |
応募不可 としたい |
現在のところ 未定 |
本社等でしか 回答できない |
無回答 |
---|---|---|---|---|---|---|
調査産業計 | 27 | 12 | 3 | 33 | 17 | 8 |
建設業 | 37 | 16 | 2 | 19 | 20 | 5 |
製造業 | 24 | 13 | 5 | 37 | 17 | 5 |
情報通信業 | 31 | 20 | 3 | 29 | 12 | 5 |
運輸業・郵便業 | 17 | 10 | 3 | 33 | 26 | 11 |
卸売業・小売業 | 19 | 14 | 1 | 30 | 26 | 10 |
金融業・保険業 | 28 | 9 | 3 | 25 | 26 | 9 |
不動産業・物品賃貸業 | 22 | 10 | 9 | 39 | 12 | 10 |
学術研究・専門・技術サービス業 | 26 | 15 | 3 | 40 | 14 | 3 |
宿泊業・飲食サービス業 | 22 | 10 | 1 | 30 | 16 | 21 |
生活関連サービス業・娯楽業 | 29 | 9 | 1 | 33 | 16 | 12 |
医療・福祉 | 45 | 13 | 1 | 27 | 7 | 8 |
サービス業 (他に分類されないもの) |
17 | 8 | 4 | 51 | 11 | 9 |
※ 既卒者の新卒枠での応募を不可としたい企業は3~9%存在している。
(労働経済動向調査の概況:2022年8月調べ)
留年して留学に行くのですから遊んでいてはいけませんよね!?
先にもお伝えしましたが、「休学や留年した理由をどのようにして乗り越えるのか?」がとても重要になります。
留学で乗り越えようとするならば、遊んでいる時間はないですよね!
留年するなら休学で!
それでは最後に『休学留学』という形で留学するための簡単な手順について、フローチャートをお作りしたのでご紹介させていただきたいと思います。
休学留学の準備ステップ
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- Step.1 学校の休学申請期間を確認する
- まず休学申請期間がいつまでなのか学校の方で確認します
-
- Step.2 休学費用を確認する
- 学校によっては休学に費用が発生する場合があるので、その費用がどれぐらい必要なのかを確認します
-
- Step.3 休学期間を設定する
- 自分が最大で取得できる休学期間を確認します。学校によっては1年と期間が定められている場合もあります。
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- Step.4 休学期間内で留学を設計する
- 留学を設計する場合、必ず帰国後の就職活動も視野に入れたプランニングを行う必要があります。
-
- Step.5 実際に本格的な留学計画を立てる
- 留学カウンセラーやライフプランナー等のプロに相談します。学校の先生は留学のプロではないので注意してください。
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- Step.6 晴れて留学へ
- すべての準備が整いましたら晴れて留学に出発します。
留学に必要・便利な持ち物リスト【2024年版】【印刷可】
- 留学カウンセラーやコンサルタントなどプロの意見を聞くことを忘れない!
留年は凄く悪いイメージだったのですが前向きになれました!
留年なんてやったもの勝ちですよ!
学生という身分なのですから失敗も沢山して大きな人に育ってくださいね!
私は留年をしてでも留学すべき?本音で語ります!まとめ
今回は留年と休学について詳しくご説明させていただきましたが、いかがでしたでしょうか?
最近は、幼い頃から教師になることが夢だった学生が、教育実習を体験する中で「先生にはだけは絶対になりたくない!」という感想を持ってしまい、これまでのキャリアを捨てて留学を志すケースもかなり増えています。
正直、それまで積み上げてきたキャリアを他にシフトすることは、年を重ねれば重ねるだけ大変さが増していくため、学生時代に気づけたことは逆に考えれば、とてもラッキーなことだと言えます。
そこで、「留年してもマイナスばかり考えないでくださいね!必ず良い道は開けますので心配されないでください!」留年経験者がいうからこれだけは間違いありません。