子どもが受けるTOEFLとは?試験内容をまとめて説明!
英語学習を進める上で「今の自分の実力をしっかりと把握すること」が大切ですが、そのために役立つのは客観的な指標となるテストや検定です。
TOEFL®テスト(Test of English as a Foreign Language)といえば、英語を母語としない人々を対象に世界基準で「英語で学ぶ力」を測定できる試験で、これまでに世界中で3500万人以上が受験し大学入試や海外留学・就職などさまざまな場面で活用されています。
英語圏の大学へ留学するときも応募条件としてTOEFL iBT®テスト(※)で一定以上のスコアを求められることが多いので、留学を考えるならTOEFL®の受験を検討したいところです。
そこで今回は、世界基準の英語力を測定できるTOEFL®テストの中でも、ジュニア版の「TOEFL Junior®(中高生向け)」と「TOEFL Primary®(小中学生向け)」についてご紹介させて頂きます。
保護者の皆様で将来的にお子さんの留学を視野に入れているのであれば、小中学生のうちからTOEFL Junior®やTOEFL Primary®を受験することでTOEFL®テストの形式に慣れておくことができますので、「TOEFL Junior®・TOEFL Primary®が具体的にどんなテストなのか?」是非、ご覧ください。
(※)TOEFL iBT®テスト:個人向けのいわゆる「TOEFL®テスト」のこと。これに対して企業や学校などで実施できる団体向けのテストはTOEFL ITP®。
TOEFLJunior®やTOEFL Primariy®を受験するメリット
1. 英語のレベルを把握することで学習意欲を向上
子どもの英語力アップのために資格や検定の受験は非常に有効で、テストを受けることで現在の実力や苦手な部分を客観的に把握することができます。
「今後はどこを重点的に学習すればいいのか」と言う適切な目標や計画を立てることが可能になりますし、子どもと一緒に「次回は10点アップを目指そう!」などと具体的な目標を立て、それをクリアしていくことは学習のモチベーションアップにつながります。
さらにTOEFL®の場合、テストの結果は合格・不合格ではなくスコア(TOEFL®iBTなら0~120点)で表示され、リーディングやリスニングなどのセクションごとのレベルも示されます。
そのため「合格したかどうか」に一喜一憂するのではなく、前回と比べて「どのくらい英語力が伸びたのか」一人ひとりの『成長』に注目することができるので、子どもの英語学習をサポートする上で大きなメリットになります。
また、このスコアは外国語の運用能力の国際基準である「CEFR(Common European Framework of Reference for Languages=ヨーロッパ言語共通参照枠)」と連動しているので、日本国内だけではなく「世界レベルで見てどの程度の英語力なのか」がわかります。
2. TOEFL iBT®テストへのステップアップ
英語圏への留学を予定している多くの人がTOEFL iBT®を受験しますが、TOEFL iBT®は日本の学生がいきなり受験するにはややハードルが高い面もあります。
まず前提として、TOEFL®は日本人だけではなく海外の人も受験するテストなので、当然ながら全て英問英答(英語で問われ、英語で答える)です。
問題文や説明書きなども含めて全文が英語で構成されていますが、これは英検(実用英語技能検定)などの日本国内の英語の資格・テストとは異なるところです。
さらにTOEFL®は『大学・大学院レベル』で必要とされる英語運用能力を測るための試験なので、扱う題材もアカデミックなものが多くなっており、高いスコアを出すためには「アカデミックな話題についての語彙」や「英語圏の学校生活に関する基本的な知識」なども必要になるのです。
こうした特徴はTOEFL iBT®だけではなくTOEFL®テスト全体で共通していますので、小中学生のうちからTOEFL Primary®やTOEFL Junior®を受験しておくことで早い段階から問題の傾向・形式に慣れることができるため、TOEFL iBT®へ徐々にステップアップしていくことができます。
単位認定や入試優遇などに適用されることも
TOEFL®テストは1964年にアメリカの非営利教育団体であるETS(Educational Testing Service)によって開発された伝統あるテストですが、世界基準で英語力を証明できる信頼性の高いテストなので、海外留学だけではなく日本国内の学校の入試や単位認定に活用されるケースも少なくありません。
2020年度の大学入試を挙げてみますと、TOEFL Junior® Standard(※)を活用した大学は全国で100以上(2019年10月4日時点 TOEFL Junior®公式HPの情報より)もありました。
日本の英語教育改革が進む中では、国際基準の英語テストを日本国内の学校現場で活用する例は今後も増えていくと思われます。
(※)TOEFL Junior® Standard:TOEFL Junior®の中でも「読む」「聞く」の2技能を測定するテスト。その他に「話す」能力を測定するTOEFL Junior Speaking®がある。
小中学生におすすめ!TOEFL Primary®とは?
いくつかの種類があるTOEFL®の中で、小中学生におすすめなのがTOEFL Primary®です。
最初からあまりレベルの高いテストを受けさせると子どもに苦手意識が芽生えてしまうので「腕試しをさせたい」「子どもがどのくらいのレベルかわからない」という場合は、まずはここから始めましょう。
TOEFL Primary®の概要
『TOEFL Primary®』はTOEFL®のファーストステップと位置付けられているテストで、世界の英語を母語としない小中学生を対象としている為、各国のカリキュラムをもとに問題が設計されています。
問題文なども全て英語なので最初は難しく感じるかもしれませんが、子どもの日常や学生生活に沿った出題になっており、例えば教室での会話や留守番電話のメッセージ、先生からの指示・アナウンスなどが題材になっているので身近に感じやすいでしょう。
3種類のテスト
TOEFL Primary®はレベルや目的によって更に3種類に分けられますが、まず『リスニング』と『リーディング』の力を測定できるのがTOEFL Primary® Step1とTOEFL Primary® Step2です。
- Step1:簡単な単語や文章、よく使われる言い回しなどを正しく理解できるかどうかを問われる。メニューやスケジュール、ポスターなどから情報を読み取るなど実践的な出題もあります。
- Step2:Step1よりもレベルアップした内容。登場する単語数が増えて文章も長く複雑になり、ややアカデミックな話題なども取り上げられます。
どちらもテストの構成はリーディング約30分+リスニング約30分で、マークシート方式のペーパーテストです。
スコアに加えて、Step1なら星の数(1~4個)、Step2はバッジの数(1~5個)でレベル分けが表示されるので、子どもにとっても自分のレベルが直感的に理解しやすくなっています。
もう一つは『スピーキング』に特化したTOEFL Primary® Speakingで、こちらは英語初級者向けになっており簡単な内容を口頭で受け答えするテストになります。
「まだ英語の勉強を始めたばかりなのにスピーキングテストなんて大丈夫かな?」と思われるかもしれませんが、スピーキングテストの題材は日常生活に関するものです。
例えば登場人物の感情や心情の表現であったり人や物・動物の動きの描写など、お子さんでも試験問題を把握しやすい内容になっています
テスト後には英語で受け答えした音声がETS本部に送られ、その音声は複数の採点者によって採点されるので客観性・公平性が高く、対面式ではないため緊張しやすい子でも実力を発揮しやすいというメリットもあります。
こちらは全てパソコンを使って試験が行われ、試験時間は約20分で、レベルはリボンの数(5段階)で表現されます。
受験するときのポイント
TOEFL Primary®は何歳からでも受験することができますが、Step1やStep2であればマークシート、Speakingであれば簡単なパソコン操作があるので、受験の前にこうしたテスト形式に慣れさせておくなど練習は必要です。
中高生におすすめ!TOEFL Junior®とは?
続いて中学生・高校生におすすめのテストと言えばTOEFL Junior®です。
TOEFL Junior®は大学入試などにも活用されている英語テストで、TOEFL Primary®よりも難易度が高くアカデミックな話題なども多くなっています。
TOEFL Junior®の概要
TOEFL Junior®は、TOEFL iBT®の前段階のテストとして世界の中高生を対象として設計されているため、TOEFL Primary®と同様に学校生活や友だちとの会話など身近なテーマを多く扱っています。
それに加えて自然科学や社会科学、人文科学、芸術といったアカデミックな内容もよく取り上げられますが、専門的な知識を問うものではなく、あくまでもそうした英語の文章に触れて内容を理解する力や要約する力などを測るものです。
2種類のテスト
TOEFL Junior®は、TOEFL Junior® StandardとTOEFL Junior® Speakingの2つに分かれています。
TOEFL Junior® Standardは「読む」「書く」の2つの技能を測定するテストで、リスニング、文法・語彙、リーディングの3つのセクションで構成されています。
試験時間は115分ですべてマークシート方式になり、結果はスコアの他に「GOLD」「SILVER」など5段階のカラーでレベルを表現します。
- リスニング:ただ情報をそのまま聞き取るだけではなく話し手の意図をつかむ・重要なポイントを言い換える・暗に示した内容を推察するなど、より深く読み解く力や自分で考える力が求められます。
また、イントネーションの変化や慣用的な表現を問うなど、実際の英語圏での会話に近いリアルなやり取りが想定された出題になります。 - 文法・語彙:文章の構造などを正しく理解することはもちろん「文脈から適切な言葉を判断する力」も問われ、手紙・メール・雑誌記事・プレゼンテーション・伝記などさまざまなジャンルの文章が題材となります。
- リーディング:まず文章全体の内容を理解することが大切で、その上で書き手の考え方や意図を丁寧に読み解けるかどうかが問われます。
指示語や間接的な表現などにも注意が必要で、メールやメモといった日常的な文章もあれば自然科学や社会科学といったアカデミックな文章も登場します。
一方、TOEFL Junior® Speakingは「話す」技能を測定するテストであるためパソコンを使用して回答をし、試験は約18分間となります。
小中学生向けのTOEFL Primary® Speakingでは簡単なコミュニケーションが中心だったのに対して、TOEFL Junior® Speakingでは初見の文章を読み上げる「Read Aloud(音読)」や絵を見て何が描かれているかを説明する「Picture Narration(絵の説明)」など多角的にスピーキング能力を評価します。
受験するときのポイント
基本的な注意点やポイントはTOEFL Primary®と同様ですが、TOEFL Junior®の場合は試験時間も1時間以上と長くなるので、集中力を切らさないようにすること・時間配分を考えることも大切になります。
受ける前に知っておきたい!申し込みからスコア通知までの流れ
それでは実際に「TOEFL Primary®やTOEFL Junior®のテストを受けたい」と思った場合どうすればいいのか?申し込み手続きから試験対策、本番の流れについて順を追って解説します。
試験の方法や流れなどは、テストの種類や時期、状況によって若干変わることもあり、個人受験か団体受験かによっても手続きなどが異なります。
ここでは『個人受験』を想定して大まかな流れを紹介しますが、受験する際は必ず詳細をTOEFL®の公式サイトなどでご確認ください。
TOEFL Primary®・TOEFL Junior®公式サイト
受験の前にすること
まずTOEFL®の公式サイトを通じて、受験料の支払いと申し込みを行います。
公開テストは年に数回開催されますが、大体は試験日の1~3か月前頃が申し込み期間になり、申し込み完了後には試験会場の詳細や注意事項などの連絡がメールで送付されます。
試験の対策としては公式サイト内にサンプルテストなど学習サポートツールが用意されていますし、問題集なども販売されているのでそれらを活用し準備しましょう。
試験本番について
受付時間は『試験開始前の30分間』で遅刻者の入室は不可となっていますので、必ずその時間内に受付を済ませましょう。
当日の持ち物として指定されているのは以下3点です。
- 本人確認書類(保険証・学生証・パスポートなど)
- HB以上の鉛筆またはシャープペンシル
- 消しゴム
試験会場によっては時計がないこともあるので腕時計などを持参すると安心です。
なお、スマートフォンやストップウォッチなど腕時計以外のものを時計として使用することは禁止されているので注意しましょう。
結果の振り返り
結果はまず公式サイトのマイページで確認することができ、後日スコアレポートが自宅に届きます。
「TOEFL Primary® Step1・Step2」や「TOEFL Junior® Standard」の公開テストの場合、試験日の約2週間後にはマイページでの閲覧、約4週間後に自宅への送付となります(「Speaking」や団体受験の場合は異なります)。
スコアレポートには点数とともに習熟度の説明や今後の学習に向けたアドバイスなども記載されていて、すべて英語で記載されますがスコアレポートの見方や日本語訳を掲載したスコアガイド(日本語版)も届くので安心です。
テストは受けたら終わりではなく結果をしっかりと受け止めて今後の学習に役立てることが大切ですから、子どもと一緒によく読んで参考にしましょう。
子どもが受けるTOEFLとは?試験内容をまとめて説明!まとめ
ここまでTOEFL Primary®とTOEFL Junior®の特徴や受験方法についてご紹介しましたが、レベルや種類などがいくつか分かれているので少し複雑そうに感じられるかもしれません。
ですが、将来的に留学を検討されている方でしたらステップアップとしてやはりTOEFL®を活用されている方が多いので、TOEFL®テストはつまり留学の登竜門のようなものです。
小中高生向けのTOEFL Primary®とTOEFL Junior®は更にその入門編と言えますので、英語レベルや伸ばしたい能力などによって子どもに合ったテストをセレクトして頂けたらと思います。
特に子どもを英語圏に留学させたいと考えているのであれば、テストのスコアが英語力の証明になることはもちろんですが、テスト自体に海外の文化や学校生活を疑似体験できるような内容が含まれているのもポイントです。
子どもが留学生活をイメージすることで、今後、世界を舞台にした活躍ができる『グローバル人材』への近道にもなりますので、是非、これからのテストについて心の片隅において頂けたら幸いです!