プロが答える語学学校のクラス分けテストについて!
語学留学に出る人に対して学校が始まる前にやってくる最大の壁となるのが、学校初日に行われるクラス分けテストです。
この初日のクラス分けテストについてインターネット上には様々な意見が書かれていますが、どれも個人の感想ばかりで残念ながら『テストの本質』を捉えたものは、なかなかありません。
そこでここでは、プロだから知っている語学学校の初日のテストの裏側について紹介させていただきたいと思います。
そもそもクラス分けテストって何?
そもそも『クラス分けテスト(Placement Test:プレースメント・テスト)』とは、語学学校の初日に行われる英語力(語学力)判定テストのことで、このテスト結果によって留学生たちは各個人に合わせた英語レベルによってクラスが振り分けられます。
そして、このたった1度のテストで留学のスタートが決まってしまうため、このテストについてインターネット上では様々な噂や体験談がたくさん掲載されています。
しかしながら、世界中の語学学校を4~5校も通った経験のある人はほとんどいないので、ほとんどの記載が個人の主観や感覚的なものになってしまっているというのが本音です。
そこでプロの目線から見た「語学学校の初日のクラス分けテストは一体どのようなものなのか?」クラス分けテストの真実を伝えさせていただきたいと思います。
- クラス分けテストは語学学校の初日に行われる英語力判定テストのこと!
語学学校の初日にはクラス分けテストがあるのですね!
今回はクラス分けテストに関する本音に迫ってみたいと思います!
語学学校によって難易度が全然違う?
まず、皆様の驚かれるポイントからお伝えさせていただきたいと思いますが、そもそも語学学校によってクラス分けテストの難易度は『完全に』と言っていいほど違います。
例えば、学校によってはペーパーテストに特化しており、グラマーやライティングなどを徹底的にテストされるような学校もあれば、そもそもペーパーテストが無くスピーキングだけテストが行われる語学学校もあります。
このようにスクールによってクラス分けテストの内容や難易度が全く違うため、インターネットで試験内容を調べても出てこなかったり、正直、意味がなかったりします。
クラス分けテスト対策はすべき?
正直なお話をすると、この初日のテストに関してテスト対策講座としてレッスンを販売している方もいらっしゃいますが、そもそも、語学学校のクラス分けテストは他の試験とは違って対策をする必要(意味)が無いテストになっています。
と言うのも、対策をして実力以上に良いスコアが取れてしまっても、その後、レベルの高いクラスに入って、クラスメイトに全くついて行けないという地獄を味わうことになるためです。
レベルが合っていないクラスで受けるレッスンは、「他のクラスメイトの足を引っ張ってしまっているかも・・」や「私の存在が迷惑になっているのでは?」といった気持から、ドンドンと心が重くなってきて精神的にきつくなるので注意してください。
- クラス分けテスト対策は全く必要ない!
- レベルが合ったクラスでレッスンを受けるようにする!
スクールの校風に合わせた対策とは?
ただし、テスト対策をして「どうしても良い点数を取りたい!」と考えるのであれば、実は、一般的なテスト対策講座なんかよりも「学校の特色に合わせて攻略する!」というのがシンプルかつベストな方法となります。
例えば、アカデミックに特化している学校の場合には、確実と言っていいほどライティングのスコアを最重要視しますので、英文のエッセイの書き方など基本的な文章構造をおさらいしておくだけでハイスコアを取得しやすくなります。
一方で、スピーキングに特化したスクールと言うのは、先生の質問に対する『返答の内容』よりも『返答速度』や「理解して答えているか?」という点について評価する傾向が強く、文法的にパーフェクトな返答を時間をかけて導き出すのではなく、「相手に意思を伝える!」という姿勢になるだけで高評価対象になりやすいです。
●スピーキングテストの攻略?
また、こちらは完全に余談ですが、対話形式で行われるスピーキングテストでは「Really?(本当に?)」と「What do you think?(あなたはどう思うの?)」だけで、レベルの高い会話を簡単に成立させることができてしまいます。
というのも「Really?(本当に?)」は相槌として最強ともいえるワードで、同じワードでも『悲しそうな表情』や『ビックリした表情』などを付け加えるだけで、さまざまシチュエーションに対応できるためです。
「What do you think?(あなたはどう思うの?)」はというと、相手に意見を先に言わせることで自分の意見を考えるための時間稼ぎができますし、相手の意見に対して同意や反対するほうが、ゼロから考えを出すよりも簡単に会話を成立させることができるようになります。
これを知っているだけで大幅にスコアが変わったりするのですが、続きを読んでいただければこうした変なテスト対策をする必要が全くないことに、ここにいらっしゃる皆様には気づいていただけると思います。
- 校風に合わせてクラス分けテストの攻略をする!
- 「Really?」と「What do you think?」だけでスピーキングテストは高得点に!
たしかに「本当に!?」とか「あなたはどう思う?」っていうと会話がスムーズになります!
ですよね!
これは私のオリジナルの会話を成立させる方法なので、他では知ることができないテクニックです!
時期によってテストの難易度が変わる?
さて、それではいよいよ本題についてお話させて頂きたいと思いますが、そもそもクラス分けテストの難易度は完全に時期や季節によって左右されてしまうという点について知らない人が多いのではないでしょうか?
時期によって変わるテスト難易度?
語学学校のクラス分けテストは、「100点満点中30点であればレベル3のクラスで、60点であればレベル6のクラスでスタート!」という風に、実は、スコアに応じてクラス分けが行われるわけではありません。
語学学校のクラス分けテストは、『絶対評価』と呼ばれる基準で判断されており、極端な話、「テストで80点をとったとしても最低レベルのクラスからスタートだった・・」ということもあり得るテストになっています。
●絶対評価によるクラス分け?
例えば、クラスがレベル1~10となる10クラスが用意されている語学学校があったとして、テストにより各クラス10人ずつにクラス分けされるとします。
そして、ある日のテスト結果が以下のようになっていたとして、あなたのスコアが『80点』だったとします。
- 100点 → 2人
- 90点 → 3人
- 80点 → 5人
- 70点 → 10人
- 60点 → 25人
- 50点 → 20人
- 40点 → 12人
- 30点 → 10人
- 20点 → 8人
- 10点 → 5人
本来であれば、あなたのスコアは80点なのでレベル8のクラスに入ることがベストなのですが、実際は、80~90点のクラスは定員となる10人に人数が足りないため、80~100点の人を全員で作られたレベル10のクラスに入ることになります。
これはつまり、クラス分けテストというものは、自分のスコアよりも一緒にテストを受けた人のスコアによって、クラス分けが大幅に左右されてしまうということを意味しています。
●レベルの高い学生が多い時期は?
基本的に英語力の高い留学生は進学を考えているケースが多いため、9月や1月のカレッジや大学進学を視野にいれることができる3~4月や9~10月頃は、国によって状況は多少異なりますが英語力の高い留学生が多くなる傾向があります。
一方で、留学先がハイシーズンとなる時期や長期休み時期になると、バカンス目的の短期留学生を希望する学生が多くなるため、全体的にスコアが下がる傾向があります。
- クラス分けテストは自分の実力よりも同時にテストを受けた人のスコアが重要!
国籍にも左右されるクラス分け?
また、語学学校は『国籍比率』にも気をつかっているため、例えば、先のテスト結果のように50~60点に日本人のスコアが集中していると、クラスメイトが日本人だけになってしまうため、1つ下や1つ上のクラスに入れられてしまうことも珍しくありません。
特に、日本の春休みや夏休みなどの長期休暇は日本人留学生が殺到するため、他の留学生のスコアの影響で、理想のクラスに入れない可能性が上がるので注意して頂ければと思います。
- 春休みと夏休み時期には日本人留学生が殺到するため理想のクラスに入れないケースが頻発する!
絶対評価とは?偏差値とは?
余談ですが、『絶対評価』とは、昔の日本の成績などで採用されていたもので、各クラスのテスト結果で1~5の『5段階評価』や1~10の『10段階評価』という風になっていました。
絶対評価はクラス単位での評価となっており、例えば、「成績トップとなる5や10を獲得できる生徒は各クラスに10%まで!」と人数制限があったため、たとえテストで全国的にハイスコアとなる95点を取ったとしても、周りのクラスメイトが優秀過ぎて100点を取った生徒が多いと、人数的な問題で最高評価が得られないシステムになっていました。
現在の日本学校教育では、そうした不公平は改正されており、最高評価をつける人たちがクラスメイトの5%と少なかったり15%と多かったりすることも良しとされているため、全国何処の学校に行っても絶対評価だった以前よりは成績に公平性が保たれるようになりました。
- 日本でも昔はクラスメイトの成績に左右される絶対評価が行われていた!
日本人に多い英語力は?
また、「日本人が多いクラスは嫌だ!」というかたは、日本のTOEICスコアのスコア部分布の状況を確認しておくと良いです。
●TOEICのスコア分布状況(単位: 人)
※ グラフをクリックするとデータも見えます
グラフの操作方法
上のグラフでは日本人の49%のTOEICスコア(ピンク)をクリックすると、TOEICスコア全体の49%の人のスコアがグラフ上にピンク色で表示されます。
このピンク色のスコアに属してしまっている方というのは、日本人の多い時期に留学に出るとクラスメイトに日本人が多い状況になることを覚えておいてください!
Listening | Reading | TOTAL | ||
---|---|---|---|---|
470~ | 4,964 | 1,016 | 895~ | 3,929 |
445~ | 5,851 | 1,619 | 845~ | 4,781 |
420~ | 6,825 | 3,099 | 795~ | 6,683 |
395~ | 8,380 | 5,678 | 745~ | 8,202 |
370~ | 9,608 | 7,491 | 695~ | 9,483 |
345~ | 12,440 | 7,536 | 645~ | 10,827 |
320~ | 12,861 | 8,505 | 595~ | 11,535 |
295~ | 13,357 | 9,401 | 545~ | 12,364 |
270~ | 10,305 | 9,940 | 495~ | 11,979 |
245~ | 9,957 | 11,587 | 445~ | 11,173 |
220~ | 10,077 | 11,996 | 395~ | 9,827 |
195~ | 5,688 | 8,504 | 345~ | 7,877 |
170~ | 3,859 | 9,462 | 295~ | 5,126 |
145~ | 2,069 | 8,292 | 245~ | 2,804 |
120~ | 1,163 | 7,389 | 195~ | 1,187 |
95~ | 536 | 4,236 | 145~ | 234 |
70~ | 84 | 1,913 | 95~ | 28 |
45~ | 8 | 297 | 45~ | 10 |
5~ | 42 | 113 | 10~ | 25 |
※長文読解などが弱いとされている日本人の特徴が出ています。
(TOEIC:2019年9月調べ)
クラス分けテストにそんな理由があったとは・・。目からウロコです・・。
こんなこと誰も教えてくれませんもんね!
でも、世界中の語学学校で採用されているクラス分けテストの方法なので覚えておいて損はないはずです!
効率の良い語学学校のレベルアップについて!
続いて、効率良く英語力を伸ばしながら、それに合わせて語学学校のクラスもレベルアップしていく方法についてお話しさせていただきたいと思います。
そこで、1番分かりやすいのはレベルアップの流れを見ていただくことだと思いますので、以下の語学学校の理想的なレベルアップについてのフローチャートをご覧いただければと思います。
語学学校の理想的なレベルアップとは?
-
- Step.1 クラス分けテストを受ける
- 対策や深く考えることなく、自分の実力を発揮することを意識します
-
- Step.2 クラスが決まる!
- 下手な対策をしなければ自分のレベルにあったクラスに入ることになります
-
- Step.3 クラスに慣れることに努める【留学1ヵ月の間】
- 最初に入ったクラスでは勉強よりもクラスや生活に慣れる期間だと考えます
(※ この期間中に様々な現地情報を手にいれたり、クラスメイトと仲良くなったりします)
-
- Step.4 2回目のクラス分けテストを受ける【留学1ヵ月後】
- 1ヵ月目よりもテストに慣れているので、よりリアルな実力が出ます
(※ 2回目のクラス分けテストまでは成績が悪くても気にしません)
-
- Step.5 クラスが決まる!【留学2ヵ月の間】
- レベルが同じだったとしても気にしないで良いです!
(※ 2ヵ月目からは学習を少し本格的に行うように意識づけしてください)
-
- Step.6 3回目のクラス分けテストを受ける【留学2ヵ月後】
- このテストは本番だと思って真剣に受けてください
(※ 3回目のテストは留学後の生活態度が完全に出るテストなので、成績が悪い場合は勉強不足を意識してください)
-
- Step.7 クラスが決まる!【留学3ヵ月の間】
- レベルが上がらない、もしくはクラスに納得ができない!
(※ 3ヵ月目もレベルが上がらない場合には自信の生活を反省して先生や留学エージェントに連絡して交渉することを考えてください)
-
- Step.8 希望するクラスでレッスン【留学3ヵ月目】
- ここまでこれたら後は学校のカリキュラムに沿って、先生と相談したりしながらコース設定もできるようになっています!
- テストに対してそこまで深く考えなくても良い!
ありがとうございます!
本当に安心しました!
よかったです!
素敵な留学にしてくださいね!
プロが答える語学学校のクラス分けテストについて!まとめ
人によっては「語学学校の低いレベルになったら人生終わってる」「お金の無駄遣い」などの意見を言われるかたもいらっしゃいますが、そちらについては全く気にしないでください。それは個人の意見であって、留学生をたくさん見てきた留学コンサルタントは全く違った思いでみています。
それは、語学学校ではレベルの低いクラスになればなるほどレッスンには遊び要素が加えられており、遊びのある環境で学べば学ぶほど「国籍の違う友人がたくさんできる!」ということを良く知っているためです。
一方で、レベルが高いクラスになればなるほどアカデミックな座学重視のレッスンになってくるため、席が隣となるような特定の友人とは話す機会はありますが、ゲームと違って他のクラスメイトと話すことは少なくなります。
そのため、「お金と時間が許すのであれば1番下のレベルから1番上のレベルまで経験された方が圧倒的に英語力は伸びる!」というのは断言させていただきます。
また、大学やカレッジに進学したり海外で働くようになったりすると、英語の勉強は全くやらなくなってしまいますので、語学学校期間が『人生において最後の英語学習の期間になること』も心の片隅において頂ければと思います。