大学生が留学するメリットはなくなってきているの?
10年前は大学生の皆様から「私に留学するメリットはありますか?」と聞かれると、「当然のことだけどめちゃめちゃ沢山あるよ!」とお答えしていました。
しかしここ数年は、「ごめんね。〇〇さんの留学の場合、メリットについてちょっと考えなくちゃいけないね!」とお話ししなくてはいけない機会がかなり増えてきました。
そこでここでは、留学に関するメリット・デメリットを考えていらっしゃる大学生の皆様と、ご家族のために「留学に出るメリットがなくなってきている?」という、海外教育の最前線からお話しさせていただきたいと思います。
時代は完全に短期留学に!
留学に出る大学生の数が年々増えてきており、コロナ前のデータによると約10万人もの大学生が1年の間に留学へと出ていたことが分かっています。
しかしながら、この10万人の留学生の内、全体の半数を超える6万人は、留学期間が1ヵ月以内となる『超短期留学』となっていることについて皆様はご存じでしょうか?
さらに驚くべき事は、1年以上の長期留学に出る大学生は1年間に約2,000人しかおらず、これは日本の大学生全体の0.1%にも満たない人数となっています。
そのため『大学生の留学』と言っても、時代は留学期間が1ヵ月以内となる超短期留学を意味するようになっているとお考えいただければと思います。
- 1年以上の長期留学に出る大学生は1年間に約2,000人しかいない
留学と言えば半年とか1年のものを考えていたのですが違うんですね!?
欧米の人たちからすると、1~2ヵ月は完全にバケーション(長期休暇)扱いになるので、そもそも『短期留学』という学習感を出す表現は日本の独特な言い回しだったりします!
短期留学の留学効果がマズい!
そこで大学生の皆様に留学に出るメリットについて考えていただきたいと思うのですが、実際に1ヵ月程度の留学に出た大学生が、どれほど大きな成果を持ち帰ることができるのでしょう?
続いては大学生の短期留学に関する成果についてのお話をさせて頂きたいと思います。
大学生の留学による英語の伸びは?
あまり知られていませんが、「短期留学において英語力を伸ばす!」ということは、対象となるものがコンピュータとは違って人間の能力に関すること柄ですので、成長をターゲットにすると必ずそれ相応のリスクがつきまといます。
例えば、ダイエットについてもそうなのですが、短期間で一気に痩せた人がダイエットをやめてしまったら、ダイエットした期間よりも更に短期間でリバウンドがやってきてしまって、以前の体重よりもさらに重くってしまうことって良くありますよね?
実は、英語力もこれと全く同じで、短期間で伸ばしたTOEICスコアなどは必ず短期間で記憶から抜け落ちてしまうことが分かっています。
そのため、大学生の皆様が目指していらっしゃるような『仕事でも使えるレベルの英語力の取得』を考えた場合、どうしても短期留学だけでは取得が難しいと思っておいて頂ければと思います。
それほど人の成長や変化を目標とするのは簡単では無いと言うことを、こちらにいらっしゃる皆様には知っておいて頂ければと思います。
- 英語力の成長には時間が必要!
- 短期間で得た能力は短期間で失われやすい
筋トレも「体に覚えさせるには一般的に1年間のトレーニングが必要だ!」って言いますもんね!
「体と脳には長期間のトレーニングのほうが良い」っていうのが分かりますよね。
短期では経験もつめない!
大学生が留学に出る場合、中学生や高校生の留学と大きく違うのは、年齢的に海外の多くでは18歳以上が大人として定義されているため、「インターンシップ活動やボランティア活動に参加することができる!」という大きな利点があります。
しかしながら、短期留学では企業インターンシップは当然のことながら、英語ができない人や短期の人は単純に周りの足を引っ張ることが多いため、ボランティアにもなかなか参加することができないというのが現実だったり致します。
そのため、日本人大学生の中には海外でのボランティア経験をお金で買おうと考え、時に『参加料として何十万円も支払ってボランティア経験をする』といったことになってしまっていることも珍しくありません。
そもそも1ヵ月程度の短期留学ではどうしても自分自身の生活に慣れるだけで必死なので、「プラスして何か経験を積んだり他の人を助けている場合ではない」というのが実情となっております。
- 短期留学ではボランティア経験を積むことも難しい
- 企業インターンシップも日本の1週間以内の短期募集のようなものも無く厳しい
ボランティア経験を買うって何か変な感じですよね・・。
有料のボランティアを否定するわけでは無いんです!
ただ、もし就職活動のためにやっているようであれば、その価値について見直しておいても良いと思います!
昔に比べて英語ができる学生が増えた!
コロナ前までは、大学生が留学に出る上で「私は海外に行って英語を勉強してきます!」という文句が、親を納得させる最大の口説き文句であり最大の目標でもありました。
しかしながらコロナ以降は、オンライン英会話や英語アプリ等の充実が著しく進み、日本国内においてもレベルの高いレッスンや英語学習を楽しく行える時代になりました。
そのため大学生の皆さんが、「海外に行って英語を勉強してくる!」と家族や友人に話すと、「え?高校時代にも英語の勉強を全然してこなかったのに、なんで今更留学に行くの?」と言う手痛いツッコミを受けることも珍しくありません。
また、「高校生の〇〇さんは海外留学していないのに英検1級を取得したそうよ!」と言う、海外未経験なのに英語力が高い子たちも増えているので、留学エージェントが言うのも変なお話ですが、大学生の海外留学に対するメリットはドンドンと無くなってきているとお考えいただければと思います。
TOEICも難易度が上がっている
大学生の誰しもが受験経験があるであろうTOEICのスコアは、ここ10年で平均点が50点以上も上昇しており、実は、2017年度からは内容の見直しが行われると同時に難易度も大幅に引き上げられています。
そのため以前のテストであれば、短期留学でもテストに関するテクニックさえ学べばスコアアップも容易にできたのですが、最近のTOEICはなかなか一筋縄ではいかないようになってきています。
そして、全体的な傾向と方向性しては、英語試験も就職活動も中長期間となる本格的な留学や休学留学や学部留学と言った形で英語力を伸ばしたり、海外で学位を修めた方々にとってドンドンと有利になるようになってきています。
- 「留学で英語力を伸ばす!」が評価されない時代
- 長期留学や学位を修める留学が評価される時代に
短期の留学って就職活動で評価されなくなってきているんですね・・。
コロナ以降の企業の注目はコミュニケーション力や自主的学習力、それに忍耐力といったものになっています。
そのため、留学をした経験では無く「留学で何を得たか?」が評価される時代になっています。
新入社員のTOEIC IPが伸びてる?
※ グラフをクリックすると詳細が絞り込めます
グラフの操作方法
上のグラフでは新TOEIC(ピンク)をクリックすると、2017年度より変更された新TOEICの平均スコアも表示できるようになっています。
新TOEICは、旧TOEICと違って難しくなっているので過去のスコアとは比較対象にはなりませんが、参考のために記載させて頂きました。
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 |
---|---|---|---|
448 | 450 | 477 | 484 |
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 |
499 | 505 | 500 | 494 |
2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
497 | 485 | 489 | 488 |
※ 新社会人が4~5月に受講したTOEIC IPスコア。
(国際ビジネスコミュニケーション協会)
- TOEIC見直し以降の平均スコアは大きく落ちている
- 短期間でのTOEICスコアアップも難しくなっている
夏休みに留学に行くと企業インターンもできませんよね・・。
インターンシップが出来なければ採用を見送っている会社もあるので、長期休みの気楽な留学が、将来に対して大きな悪影響とならないようにしないといけないですね!
大学生からの留学前のご相談について!
もう『大学生が海外留学に行く』という事と『大学生が海外旅行に行く』という事が全く大差がなくなってしまっている中、「それでは私はやっぱりしっかりとした留学をしたい!」と言ってくださる学生の皆様もいらっしゃいます。
そこでそんな大学生の皆様には、留学におけるメリットを最大にして頂くために、理想となる留学相談の流れについてフローチャートのような形で作ってみました。
留学の作り方について知ることは、留学の節約にもつながりますので、ご自身の留学を考えながらご覧いただければと思います。
大学生の理想的な留学相談までの準備
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- Step.1 将来の職業について考える【留学10ヵ月前】
- 大学生の留学将来の職業にマッチさせたり、方向性を合わせることが重要になります
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- Step.2 将来の職業を決めて調べる【留学9~10ヵ月前】
- 将来の職業がある程度意識できるところまで来たら留学について調べ始めます
(※ 自分の成りたい職業に就くには、どの国に留学すると良いのか?を調べます)
大学生のための留学情報 - Webシラバス
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- Step.3 留学について少し分かったら【留学6~8ヵ月前】
- 留学についてどのようなものか?少し分かったら留学相談スタートです!
ココア留学の無料カウンセリングへ
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- Step.4 カウンセラーと留学計画を立てる【留学6~8ヵ月前】
- 『語学の計画』や『就職活動に向けて準備』を行います
(※ 大学生の留学プランニングは時間との戦いになりますので、真剣にカリキュラムを作り上げます)
- 「将来のビジョンに合わせた留学になっているか?」を考えておく!
将来のビジョンに合わせて留学をするってどういう意味ですか?
例えば、将来、フライトアテンダントを目指している方ならフライトアテンダントコースで学位を、IT系のプログラマーを目指しているならば、プログラミング系のスクールで学位や現地企業でインターンシップなどの就労経験を積むことがオススメです!
大学生が留学するメリットはなくなってきているの?まとめ
大学生の皆様には、やはりどうしても就職活動と言う大きな壁を乗り越えなければいけないと言う大きなプレッシャーがいつもつきまといます。
そうした中で、大学1~2年生ではサークルや部活動に追われながら先輩達との人間関係を築いていると、大学3年次の夏休みには企業インターンシップにも参加しなくてはいけません。
そしてインターンシップが終わったと思ったら、企業エントリーや説明会、それに面接がスタートしてしまいます・・。
こうやって聞くと『留学に出る機会』や『チャンス』は大学生にはほとんどないので、留学に出るときには忙しい生活から解放され「学生は最後だし遊びたいなぁ」という思いになることもよくわかります。
ただし、遊びの留学にしてしまっては、そもそも留学に出るメリットが無くなりますし、留学をせずに日本でがんばっている学生達と比較すると、留学に出ることがデメリットにさえなってしまいます。
また、最近では、小中学生の留学がブームになっており、10代前半で親元を離れて1年以上の留学を経験する子たちも増えてきています。
そうした大学生の留学に対する向かい風の中、皆様が留学をメリットに変えるためには、中高生のような留学をするのではなく「1歩進んだ留学をしないといけないんだなぁ!」と、心の隅のほうに置いておいていただければと思います。
そして、万が一皆様の留学にご協力できるようなことがありましたら、以下よりココア留学とご相談いただければと思います。世界でTOPレベルの留学コンサルティングがどのようなものか感じて頂けるかと思います。