カナダ移民・永住権

カナダ移民前に知っておきたい教育と保障について

カナダで永住しようと考える方は、やはり移民した後にどのような生活が待っているのか?気になってしまう方も多いはずです。

ここではそんな皆さまのために、実際にカナダに移民した後の教育・保障・年金等がどうなるのか解説をしてみたいと思います。

移民した後の家族はどうなるの?

配偶者

配偶者用就労許可証

就労許可証6か月以上持っていて、National Occupational Code[NOC](国家職業分類) 0、A、Bの仕事に就いている場合には、その配偶者はオープンな就労許可証を申請・取得することができます。オープンな就労許可証とは、業界、職種に関わらずどの雇用主の下でも働ける便利な就労許可証です。配偶者用就労許可証は、日本から来た時に空港で申請もしくはカナダ到着後に国内申請をすることができます。

National Occupational Classification[NOC](国家職業分類)とは?

学生として就学許可証を持っている方の配偶者も同じように配偶者用のオープンな就労許可証の申請・取得が可能です。

3年間のUndertaking

配偶者の永住権をスポンサーすると、永住権を取得してから3年間は、生活に必要な経済的サポートを約束しなければなりません。(国内申請にすると配偶者は就労許可証を取得して働ける場合もあります)。これをUndertakingと呼び、3年間はカナダ政府の助けにならずに過ごしていけることが前提です。

子供

親が就学許可証もしくは就労許可証を持っている場合、18歳もしくは州によっては19歳未満の子供はビジターのステータスがあれば学校に通うことができます。

親がビジターの場合は、子供が学校に通うには就学許可証を申請・取得しなければなりません。

17歳未満で親と離れてカナダの学校に通う場合には、通常の就学許可証申請の書類に加えて、親と後見人それぞれの公正証書の提出が必要です。

カナダの教育について

カナダの教育は、州政府によって管轄されています。カナダの義務教育年度は9月~6月まで。6歳または7歳から15歳または16歳までとなっています。州によって区切り方は若干異なります。

小学校入学前

初等教育以前の教育機関としては、2歳児から受け入れている保育園と4、5歳時を受け入れる幼稚園があります。

小学校

小学校の修学年齢は6、7歳~州により12、13歳のいずれか。子供の学校で印象的なのは、勉強にからめた楽しく学べる機会が多く、学校に行くのが好きな子供たちが多いこと。例えば美術の授業の一環でアートスタジオに行ったり、映画を観たり、ハロウィーンパーティーやパジャマデーがあったり。また2か月以上ある長期休みでも宿題が出ることがほとんどありません。バンクーバーの小学校ではほとんどがアジア人で、モントリオールでは人種がもっとミックスされていました。地域や州により人種の比例が変わります。

中学校・高校

カナダ国内の生徒の95%は公立校に通っています。公立校での教育は一般的に無料で提供されています。

大学

カナダの大学で取得できる学位は、学士号、修士号、博士号の3種類です。

コミュニティーカレッジ

職業訓練を提供する高等教育(Post-secondary)機関がコミュニティーカレッジです。あらゆる種類の職業訓練を提供しています。
それに加え、大学編入プログラムを提供しているコミュニティーカレッジもあります。

コミュニティーカレッジのもうひとつの大きな役割は、成人向けの生涯学習で、高校レベルの科目を、履修、もしくは再履修する機会を与えるものです。
※半年以下のプログラムの場合には、就学許可証は必要ありません。

知っておきたいカナダの医療と保険制度

主な医療サービスを紹介します。健康保険に入っていれば無料で診察を受けることができます。国民保険は毎月会社または個人で払います。ブリティッシュコロンビア州ではMSP(Medical Services Plan)オンタリオ州ではOHIP(Ontario Health Insurance)と州によって呼び方が変わります。

各州の健康保険
http://www.cic.gc.ca/english/newcomers/after-health.asp

ファミリードクター

掛かりつけの医者のことをいいます。最初にファミリードクターに診察を受け、そこで解決するか、必要なら時は専門機関での検査や専門医(皮膚科、産婦人科など)を紹介してもらいます。処方箋も出してもらえます。日本のように定期健診の通知が送ってくるということはないので、必要ならば自分でファミリードクターを通して健診をアレンジします。話しやすいファミリードクターで、家族で同じファミリードクターにかかると相談しやすいように思います。薬代は対象外ですが会社を通して別の保険も入っている場合は何割かの負担で済みます。

専門医

専門医はファミリードクターの紹介で初診予約を受けられます。

ウォークイン・クリニック

ファミリードクターがいない方も、受診可能です。ウォークイン=予約なしで診察を受けることができます。すぐに診てもらいたい時に例えば会社のランチ時間を利用してウォークインクリニックを利用することもできます。

救急外来(Emergency)

平日の夜や土、日、祝日に緊急で医師にかかる必要がある場合は総合病院の救急外来で診療を受けることができます。救急と言っても、症状が軽いとみなされた場合にはかなり待つ場合があります。私(上田)は救急外来で最長5時間半待ったことがあります。氷で滑って尾てい骨にヒビが入ってものすごく痛かったのですが、日本人は痛くても表情に出さないので待たされた感がありましので次から本当に痛いときにはきちんと伝えることがよいようです。

歯科

歯科は国民保険の対象外です。会社でグループ保険に加入していれば治療内容によっては保険が適用されます。保険の種類により自分で治療費の何割かを負担する場合もあります。定期的に検診と歯のクリーニングを受けるのが一般的です。

カナダの年金はどんなの?

カナダの国民年金制度は、CPP(Canada Pension Plan)とOAS(Old Age Security program)との2本立てがあります。カナダの年金をもらいながら日本の年金も同時に受け取ることができます。

CPP(Canada Pension Plan)

CPPは国民年金のようなものです。18歳以上で年間所得が$3500以上ある場合に支払いが義務付けられています。仕事をしているとCPPの積み立ては所得レベルにより給与から自動的に差し引かれ、会社が同額を払ってくれます。自営業者は全額自己負担で支払います。

CPPの受給額は課税対象となります。なおCPPは受給者がカナダ国外に住んでいても支給されます。CPPには一般的な退職年金のほか、障害者年金、遺族年金、児童手当てなどが含まれ、それぞれ受給者の条件が設定されています。

CPPの詳細
https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp.html

OAS(Old Age Security program)

OAS制度のもとでは、次の3種類の給付金があります。それぞれの支給は自動的ではなく、本人が資格申請をする必要があります。

  1. OAS(Old Age Security program)老齢年金
  2. GIS(Guaranteed Income Supplement)補充所得年金
  3. Allowance 手当て
  4. Allowance for the Survivor 遺族手当て

(1)OAS 年金(老齢年金)

CPPが就労中に支払った保険料の額に応じて退職後に年金を受け取る制度であるのに対して、老齢年金を含むOASは、税収を財源に政府が支給するもので、保険料の徴収はなく、65歳以上になると支給されます。OASは就労しているか否かに関わらず、65歳以上の人に毎月支払われるますが、課税対象となります。

カナダ国外に住んでいても受給できますが、その場合の条件として、18歳の誕生日以降、最低20年カナダに居住したこと、カナダから住所を移した前日の時点で市民権または永住権を保有していたことが求められます。

OASの詳細
https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp/old-age-security.html

(2)GIS(補充所得年金)

GISはOAS年金(老齢年金)の受給者で、それ以外に全くまたはほとんど収入がない人に毎月支給され、課税対象にはなりません。支給額は収入レベル、配偶者の有無によって決定されます。

カナダ国外に住居を移した場合には、その月から6ヵ月を限度に支給が続けられるが、それ以降はカナダに住んだ年数に関係なく打ち切られます。

GISの詳細
https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp/old-age-security/guaranteed-income-supplement.html

(3)Allowance 手当て

60歳~64歳までで、配偶者がOAS年金を受給していてGISの要件にあう場合に受け取ることができる場合があります。

Allowanceの詳細
https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp/old-age-security/guaranteed-income-supplement/allowance.html

(4)Allowance for the Survivor(遺族手当)

Allowance for the Survivorは、60歳~64歳で配偶者を亡くした人や、再婚をしなかった人などの家計を助ける目的で、毎月支給され課税対象になりません。

カナダの国外に住居を移した場合には、その月から6ヵ月以内に支給が打ち切られます。

Allowance for the Survivorの詳細
https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp/old-age-security/guaranteed-income-supplement/allowance-survivor.html
OASの最大支給額の詳細
https://www.canada.ca/en/services/benefits/publicpensions/cpp/old-age-security/payments.html

Registered Pension Plan(RPP)

働く会社によってはRegistered Pension Plan(RPP) と呼ばれる年金制度へ加入することもできます。この年金は会社が一定の積立金を上乗せしてくれる年金で、税金控除の対象にもなりお得です。

Registered Retirement Savings Plan(RRSP)

銀行等で受け付けている Registered Retirement Savings Plan(RRSP)とよばれる個人年金もあります。2月末日までに購入したRRSPは、年収の一定割合内であればその分の所得税が免除されるため、税金の高いカナダでは節税対策としても利用できます。ご自身のRRSPの最高限度額は納税後に発行されるNotice of Assessmentに記載されています。