栄養士が留学!海外で栄養士を目指す?それとも転職?

「ここ10年で、増えることも減ることもなく、ほぼ一定数の方々から留学相談にいらっしゃる職業と言えば何か?」と言われると、様々な職業のかたの顔が頭に浮かびますが、『栄養士』もそのうちの1つの職業であることは間違いないです。
特に、栄養士のかたで留学やワーキングホリデー相談でやってこられるのは、そのほとんどが24~28歳位の20代半ばの女性たちになります。
そこでここでは、海外を志されていらっしゃる栄養士の皆様と、これから海外で栄養士になろうと思っていらっしゃる皆様のために、栄養士の海外留学について詳しく案内させていただきたいと思います。
栄養士関係の留学について、外では聞くことはあまり無いと思いますので、もしよかったら最後までお付き合いいただければ幸いです。
日本における栄養士の職場とは?

まず初めに、栄養士や管理栄養士を目指していらっしゃる方々のために、栄養士さんたちが一体どのような職場で働いているのか?と言うお話をさせていただきたいと思います。
一見に通ってる栄養士と管理栄養士の職業ですが働いている場所は違うのでしょうか?
そこで先ずは、そもそも栄養士と管理栄養士の違いについてお話しさせていただきたいと思いますが。
栄養士と管理栄養士の違いとは?
管理栄養士は厚生労働大臣の免許を受けた国家資格で、栄養士は都道府県知事の免許を受けた資格になります。
つまり、管理栄養士は栄養士の上位職となり、管理栄養士は栄養士では扱えない、体調の悪い方や病気の方への栄養指導等にあたることができるなど選べる職場の数は広くなります。
一方で栄養士は、管理栄養士のように国家試験(管理栄養士国家試験)を受験する必要がなく、指定の学校さえ卒業すれば免許が与えられますので、管理栄養士と比べると容易に資格を習得できると言う特徴があります。
そのため、病気の方への指導等はできませんが、病院で管理栄養士の指導のもと勤務しながら経験を積み管理栄養士を目指したり、そのまま児童福祉施設等で働かれる方も多いです。
栄養士と管理栄養士の職場の違い
続いて、栄養士と管理栄養士が一体どのような職場で働いているのか、以下のようにまとめてみましたのでご覧ください。
グラフを見ていただけると一目瞭然ですが、管理栄養士は栄養士と比較して病院で働いている方々の割合が圧倒的に多くなっていることが分かります。
『患者への栄養に関する個別指導ができる』と言う資格に関する大きな差になっていることが分かります。
※ グラフをクリックすると詳細が絞り込めます
働き場所 | 栄養士 | 管理栄養士 |
---|---|---|
病院 | 23.3% | 33.1% |
児童福祉施設 | 19.5% | 9.6% |
介護保険施設 | 18.6% | 10.4% |
産業給食施設 (工場・事務所) |
18.4% | 14.6% |
学校 | 7.6% | 4.9% |
社会福祉施設 ・矯正施設 |
2.9% | 3.8% |
栄養士 ・調理師養成施設 |
0.4% | 0.7% |
官公署 | 0.3% | 3.4% |
その他 | 9.0% | 19.5% |
※ 栄養士と管理栄養士の差は児童福祉施設での勤務者数の差。
(日本栄養士会:2019年度調べ)
日本の栄養士は評価されていない?

栄養士の皆様に「なぜ仕事を辞めて留学に出ようと考えていらっしゃるのですか?」と質問をすると、皆様の留学理由は様々なのですか退職理由は大体以下の3つに絞られています。
- 職場の人間関係
- 仕事の拘束時間の長さ
- 給与の安さ
栄養士や管理栄養士の皆様が上記の3つをご覧になられたら、「あ!私も同じだ!」とおっしゃるのではないでしょうか?
特に、病院で勤務される栄養士の皆様は、裏では『病院カースト』と呼ばれる病院内の職業ランキングでも、かなり下位として見られることも多く、医師と看護師からのプレッシャーと患者さんからの責任から「押しつぶされてしまいそうになる」とおっしゃる方も珍しくありません。
そんなに大変な職業となっている栄養士ですが、退職理由としても挙げられていた給与は一体どのようになっているのでしょう?
世界と比較した栄養士の給与
そこで世界の栄養士の給与について、以下のようにまとめてみましたのでご覧ください。
また、『日本の平均給与は約410万円ほどである』という事実を踏まえて見ていただきますと、栄養士の評価の低さに驚かれるかと思います。
加えて、海外の栄養士は日本の栄養士さんのように長時間勤務をすることなく、時間になるときっちりと帰宅しますので労働時間についてもかなり短いと思ってください。
※ グラフをクリックすると詳細が絞り込めます
国名 | 給与(時給) |
---|---|
日本 | 340万円 |
アメリカ | 568万円($51,007/year) |
カナダ | 583万円(C$67,226/year) |
イギリス | 667万円(£44,059/year) |
オーストラリア | 668万円(A$78,972/year) |
ニュージーランド | 549万円(NZ$70,000/year) |
※ 三菱UFJリサーチ&コンサルティング2018年年間平均TTS為替レート採用。
(indeed:2019年度調べ)
栄養士の留学者数が大きく伸びない理由とは?

日本における栄養士さんの評価の低さについて、おそらくここにいらっしゃる栄養士さん、管理栄養士の皆さん、そしてこれから海外で栄養士を目指そうと思っていらっしゃる皆さん、その全ての方々にご納得いただけたかと思います。
しかしながら栄養士さんが海外留学を目指す機会と言うのは、実は、同じ病院で働く看護師さんや医療事務の方々と比べてそう多くはありません。
それは一体どうしてでしょう?
栄養士は日本での仕事が少ない
最大の要因となっているのが、日本での栄養士としての仕事、つまり求人数の少なさが影響しています。
2019年に厚生労働省が発表したデータによると、看護師の求人倍率が約3.5倍であるのに対して、栄養士の求人倍率は約2倍となっており、特に病院での管理栄養士の求人倍率は約1.5倍と、1度離職してしまうと看護師のように再就職が容易ではないと言うのも1つのポイントになっています。
また、事務等の仕事は「人材難だ!」とあらゆるところで叫ばれる中、有効求人倍率が約0.5倍にまで低くなっており、2人で1つの職を争っていることを考えますと、栄養士さんの方が事務員の皆さんよりは、離職して留学には行きやすいといえます。
栄養士資格が海外では使えない
また栄養士の皆さんからよくお受けするのが「私は栄養士しかやってこなかったので、海外に出て仕事をする自信がありません」と言うご相談です。
これは栄養士だけではなく、看護師免許や教師の免許など、日本国内で有効な免許で守られている士業の皆さん全てに当てはまるのですが『海外に出ると免許の意味がなくなるので、ただの人になってしまう・・』という恐怖を持っていらっしゃる方が多いです。
海外で栄養士の道はかなり険しい
次に、栄養士さんだけでなく海外で栄養士さんを志される皆さんが、心を折られる原因となっているのが『海外で栄養士になる難しさ』です。
オーストラリアやカナダで栄養士を目指される方からのご相談は決して少ないものではないのですが、留学カウンセリングにおいてその道のりをご説明するとそのほとんどの方が挫折されます。
その要因として、栄養士の資格が海外においてカレッジや大学を卒業する必要があり、また在学中に無給のインターンシップを1年経験する必要があるなど、その条件がかなり厳しくなっているためです。
それにカレッジや大学進学レベルとして設定されている英語力は、IELTS6.5~7.5(TOEIC 900点以上)となっている学校ばかりで、一般的な海外留学1年程度の学生では、入学し許可されるレベルには全く届きません。
つまり単純に計算すると、
2年(英語学習)+4年(大学)=6年の留学期間
になりますので、その学費と生活費を留学費用の安いカナダで計算しても、1000万円は軽く超えてきますので費用的な道のりもまた厳しさがあります・・。
なかなか新しい一方踏み出すのって難しいですよね。
グローバル化が叫ばれる栄養士の世界!
こうした背景がありながらも、栄養士の世界ではグローバル化が叫ばれ続けています。
と言うのも、日本における食文化は世界から見るとかなり特殊なものになっており、世界標準が日本の標準でなかったり、日本の標準が世界基準を満たしていなかったりと様々です。
そうした中、圧倒的に足りていない人材として挙げられるのが『英語ができるグローバル意識を持った栄養士』の存在です。
近年では、日本には約260万人を超える外国籍の方々が住んでいますが、その数は毎年数万人単位で増え続けています。
先日は、あの『オタフクソース』でさえも、イスラム教の『ハラル対応のソース』を発表するなど、食のグローバル化はノンストップで加速しています。
他には、ベジタリアン等の食事についても、やはり日本より欧米各国の方が圧倒的に研究が進んでいるなど、研究発表についてもほとんどが海外の大学や研究機関からとなってしまっています。
世界の舞台で活躍できる栄養士が、日本に絶対必要となっている理由がだんだんとわかってきていただけたのではないでしょうか?
栄養士のための理想の留学プランとは?

続いて、栄養士の皆さんが留学に出ようと思っても、『海外で栄養士を目指す道はかなり険しい』と言う先ほどお伝えした理由に心が折れてしまうかもしれません。
しかしながら、実は、留学のプランニング次第で留学費用をかなり節約できるだけではなく、ビザの活用や教育奨学金等の利用によって留学準備費用も抑えることが可能です。
そうした留学プランニングは個別に作っていく必要があるのですが、大きな留学の流れとしては以下のようなカリキュラムで学習していただけると、栄養士の皆様にとって帰国後のルートまですっきりとしてくるので、おすすめです。
栄養士の理想の留学ステップ
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- Step.1 留学相談をスタートさせる【留学6~8ヵ月前】
- 留学相談のスタートさせて、留学に関してある程度のプランニングを考えていきます
(※ キャリアアップ・転職・海外永住希望など、目的をはっきりさせておきます)
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- Step.2 留学計画を立てる【留学3~5ヵ月前】
- 『語学の計画』や『将来のライフプランの設計』を行います
(※ 本気で栄養士を海外で目指すルートと帰国ルートの2パターン用意するなども考えます)
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- Step.3 英語力を測定して留学期間と時期を決める【留学3~5ヵ月前】
- 学校のオンラインテスト(民間の英語試験)などを受講して英語力を診断します
(※ 英語力を明確化することで語学学校期間やカレッジ期間、留学全体の期間が分かります)
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- Step.4 学校の申し込みを行う【留学3~5ヵ月前】
- 学校に願書・入学申し込みを行い入学証明を受ける
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- Step.5 ビザ手配をスタートさせる【留学3~5ヵ月前】
- カウンセリングのプランに合わせて必要なビザを手配し完了させる
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- Step.6 退職調整や航空券・荷物の準備をする【留学3ヵ月前】
- 調整と航空券や保険の手配
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- Step.7 住民票を抜くなど役所の手続きを済ませる【留学1ヵ月前】
- 留学によって役所での手続きが幾つか発生します
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- Step.8 荷物をパッキングして出発!
- 荷物の最終チェックをして留学に出発します!
留学に必要・便利な持ち物リスト【2023年(コロナ対応版)】【印刷可】
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- Step.9 留学生活スタート!
- 英語力が足りない方は語学学校での学習からスタートします!
(※ カレッジや大学進学のためのステップですが、パスウェイや大学準備をコースを利用します)
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- Step.10 カレッジ期間【就労体験期間】
- カレッジプログラムに入るため英語学習から栄養学の学習へと入っていきます
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- Step.11 滞在延長or帰国!【帰国予定3ヵ月前】
- 就労資格を使って更に滞在期間を延長させて英語力やスキルに磨きをかける!
(※ ここで帰国ルートに入る場合にはStep.12をスキップしてください)
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- Step.12 海外での就労経験+収入!【就労期間】
- 栄養士として勤務することで収入は軽く日本の2倍になります!
(※ ここまでカリキュラムを全てこなされた方は、英語力だけ見てもTOEICは軽く満点クラスを狙えます)
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- Step.13 帰国前に就職カウンセリングを受ける!【帰国予定2ヵ月前】
- 帰国をしてしまう前に必ず就職カウンセリングを受け、状況によって帰国と同時に面接を手配する
(※ 転職の場合には先にキャリアコンサルを入れる。場合によってはStep.11で留学期間の延長)
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- Step.14 帰国!
- 帰国前に留学先での銀行や賃貸契約などを全て切ってから帰ります
(※ 帰国後には面倒ですが役所の手続きなども済ませます)
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- Step.15 企業面接!【帰国2週間以内】
- 帰国前に手配しておいた企業の面接を受けます
(※ 英語を使えることで外資系の食料品関連は当然ですが、海外とのやり取りがあるような研究機関や外国人患者の多い病院なども視野に入ります)
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- Step.16 就職していよいよ日本での新生活スタート!【帰国1ヵ月以内】
- 滞在先の相談もココアで合わせて手配しているので新生活がスムーズにスタートします!
(※ 少し長い道のりになりましたが、本当に良くここまでやって頂けた!と思える瞬間です!)
栄養士が留学!海外で栄養士を目指す?それとも転職?まとめ

栄養士の皆さんにとって大きなハードルとなっている留学費用についてですが、例えば自己資金100万円であったとしても、奨学金等を利用することにより2~3年のオリジナル栄養士留学をお作りすることも可能です。
もちろんそのためには、留学の専門的な知識と留学プランニング時間をかなり必要とするため、なかなか留学の専門家でも採算が合わない留学となるためお作りするのは難しいというのが本音です。
しかしながら、パッケージ留学ばかりをやっている留学エージェントでは難しいのですが、留学エージェントが『やろうとしない留学』や『できないオリジナル留学』を率先して作り上げてきているような会社の場合、こうしたノーハウを持っていることが、ごく稀にですがあります。
ですので、もしそういう会社が見つかったのであれば、皆様の夢をあきらめることなく、是非ご相談していただければと思います。
また弊社でも、栄養士さんの留学やワーキングホリデーを時折ではありますが、お作りしておりますので、もし格安で対応してくれるような留学エージェントが見つからない場合にはお気軽にご相談いただければと思います。
その際は大変お手数ではありますが、以下のお問い合わせフォームより『栄養士留学の相談がしたいです』と、留学カウンセラー手にメッセージをいただけましたら幸いです。
そして、この記事をきっかけにして1人でも多くの栄養士の皆様に、最高の留学経験をしていただけたらと心より願っております。