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日本語教師として留学する人のための知識!【完全版】

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近年、外国人観光客や外国人留学生の増加に伴い、東京や名古屋・大阪・福岡といった大都市で外国人と出会う機会が増えました。

そうした中、実は、日本では外国人労働者は毎年数万人単位で増えており、例えば、日本にいる『技能実習生』と呼ばれる労働者見習いの外国人だけでも既に35万人を超えています。

もちろんですが、日本語教師の需要も伸びてきており、海外留学からの帰国後のお仕事として、『日本語教師をしたい』と言うケースも増えています。

そこでここでは、海外留学する皆様のために『日本語教師の実情』を踏まえて、「本当に日本語教師になるために海外留学をすべきか?」と言うお話をさせていただきたいと思います。

日本語教師を志される方やお子様を海外に送り出すにあたり心配していらっしゃるご家族の方に、是非、読んでいただけましたら幸いです。

日本語を学びたい需要は毎年増えてきている!?

TEACHの文字を刻んだサイコロ

日本国内にいる在留外国人数は322万3858人(2023年6月末時点)となり、この数は『日本全国にいる大学生の291万人』や『茨城県の総人口286万人』よりも多いです。

それほどの外国人が日本にいるわけですから当然のことながら、「日本語を学習したい!」と言う在日外国人も増えているのは間違いないですよね?

そうなんです。その数が間違いなく増えていて、現在、日本語学習者は、日本国内において約25万人がいて、2010年より毎年2万人以上のペースで増えて続けています。

そして、そのうちの約60%は海外からの『留学生』や『技能実習生(主に企業などで勤務しながら日本の技術やノウハウを学ぶ外国人)』となっており、大学や地方公共団体、それに法務省により告示された日本語学習機関で学んでいます。

  • 日本に住んでいる外国人数は茨城県民よりも多い!
  • 日本語学習者の人数は増えている!
留学生
留学生

日本にはそんなに沢山の外国人が住んでいるんですね!

COCOA
COCOA

茨城県は全国47都道府県中、人口ランキングで11番目ということも忘れないでください!

海外での日本語学習者も増えている!!

海外で先生として働く女性

次に、海外の日本語の学習者の増減について案内させていただきたいと思います。

世界的に見て日本の経済状況についての評価はあまり高くないのですが、その一方で、日本の『医療技術』や『治安』は世界の中で評価されており、「日本に永住したい!」と考えている外国人は年々増えてきております。

また、皆様のご存知の通り、最近の日本では人手不足に陥っている会社も増えていることから、どうしても海外人材に頼らなくてはいけないようになってきています。

そのため外国人労働者への日本の『永住権付与を容易にする動き』も行われており、そうしたあおりを受けて、中国やベトナム、それに東南アジアを中心に日本語学習者が増えてきています。

具体的には、2000年頃には200万人ほどだった日本語学習者数は、2021年には379万人とほぼ倍増しています。

※ グラフをクリックすると詳細を表示できます。

日本語学習者のエリア別の割合(単位: %)
エリア 割合
東アジア 45.2
東南アジア 31.2
南アジア 1.7
オセアニア 11.8
北米 4.7
中南米 1.4
西欧 2.5
東欧 1.2

※ 日本語の学習者はアジアに集中している
(国際交流基金:2023年公開(2021年度調べ))

  • 世界で日本語学習者は増えている!
留学生
留学生

世界中で日本語を学んでくれる人が増えているのは嬉しいです!

COCOA
COCOA

親近感を覚えますよね!

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日本語教師の人数と仕事の求人はどうなってるの?

レッスンのために勉強している女性

外国人の日本語学習者が増えている中で、日本語教師の需要についても年々増加してきています。

そうした中で「日本語教師の人数はどれくらいいるの?」といいますと、日本国内において約4万人にまで増えてきております。

また、海外にもまた日本語教師が4万人ほどおり、日本と海外の合計で約8万人の先生たちが日本語教育に携わっております。

日本語教師の構成とは?

しかしながら、日本語教師といっても、中身を見てみますと、日本国内で活躍している日本語教師の約半数である約2万人以上がボランティアで、非常勤や常勤の教師は1万7000人ほどしかいません。

また、日本語教師のうちの64%が40歳以上で、70歳以上の日本語教師が全体の約10%もいることを考えますと、日本語教師のボランティア化と高齢化はかなり進んでいるといえます。

世界各国を見渡してみても、教師がボランティアでまかなわれている国はなかなか無いので、日本の言葉や文化を海外に伝えたいと言うシニア層が多い事は世界に自慢できる本当に素晴らしいことだと言えます。

  • 日本語教師の多くはシニア層
留学生
留学生

日本語教師ってシニア層やボランティアの人が多いんですね!

COCOA
COCOA

ボランティアが多いことは、世界に誇れる点ですよね!

日本語教師の現実と給料について

スマートフォンでレッスンを受ける外国の女性

しかしながら、日本語教師を職業としようと考えた場合、その実態はかなりずさんなものとなっております。

その最大の要因として挙げられるのは、どうしても『日本語教師と言う職業の需要に対して、成りたい人が多過ぎる』と言う点にあります。

成り手が多すぎる日本語教師という職業

例えば、日本から海外留学にいく学生の多くが経験したい体験型のボランティアで、最も人気があるものの1つとして「海外で日本語を教えたい!」と言うものは必ず上位ランクインしています。

そのため、欧米の日本語教室に行くと、外国人学生1人に対して1人の日本人ボランティアといった教室を見かけることも珍しくなく、ボランティアとして参加している学生も、日本の有名大学からやってきた学生が多いです。

このように日本語を教えるボランティアが多い状況は、何も海外だけの特別なことではなく、先にお伝えしたように日本においても同じような状況となっています。

●日本での日本語教師ボランティアの事情

実は、日本でも、リタイアされた方々を中心に「日本語をボランティアで教えたい!」という人たちはたくさんいて、日本語学習者にとって、学費を払って学校に通わなくても、無料で日本語レッスンを受ける機会は山のようにあるという状況になっています。

そのため、当然のことながら日本語教師の給与は著しく低く、例えば『1コマ(90分)につき5000~6000円』と言う日本人教師の募集広告があったとしても、実際にはそのレッスンの準備に2時間、授業が終わった後のフィードバックに1時間となり、時給にすると1000円を軽く切ってくるところも珍しくありません。

また、都心部を離れると、給与が安い状況が加速しており、資格を持った日本語教師の給与は『1コマ(45分に)つき1700円~2000円程度』となっており、それに授業の準備時間(2時間ほどを含む)とされているところがほとんどなため、時給に換算すると数百円程度になっていることもあります。

  • 地方の日本人教師の給料は期待できない

実際に日本語教師に聞いてみました!

実際に日本で日本語教師にお話を聞いてみると、状況はさらに過酷になっており、「正直言って、実家暮らしでなければやっていけない・・」というのが本音だそうです。

特に、日本語教師の間では、常勤教師の限られた枠を非常勤教師が奪い合っている状況となっているのですが、教師と言う職業柄を早期(若くして)で引退する人はほとんどいないため、常勤教師の枠が空かないまま生活ができずに泣く泣く辞めてしまう先生も多いとのことです。

また、日本語学校のスタンスとしては、先生が辞めたとしても、新しい先生希望者が次から次へとやってきているような状況なので、安い給与でも人材不足になる事はなく、「この過酷な日本語教師の環境はなかなか改善しないのではないか?」とのことです。

●日本語教師が日本で働く状況とは?

日本語教師の採用募集に資格制限は無いケースもありますが、実際には教師として勤務するには以下の内どれかの能力や全ての能力が求められています。

  1. 大学で主専攻あるいは副専攻の日本語教育科目を履修し卒業していること
  2. 日本語教師養成講座において420時間以上の教育を受けていること
  3. 日本語教育能力検定試験に合格していること(合格率25%)

実は、思っている以上に厳しい壁があることに気づいてしまいますよね・・。

  • 日本語教師の中には給料の安さから生活が厳しくなっているケースもある

●インターネットで働く日本語オンライン教師とは?

次に、コロナ以降は、在宅での勤務を希望される方も増えている影響で、オンライン登録されている日本語教師の数は増えてきています。

そこで、オンライン日本語学校を経営していて、インドやミャンマーなどで日本語教師として教鞭を振るっている企業や代表者にインタビューを行ったところ、登録者は『基本的に大学で日本語学を専攻していた方々ばかり』になっているとのことです。

また、登録制のアルバイトとなるオンラインの日本語教師の場合にも、同時に先に案内しているような条件をクリアすることが必須となっているとのことです。

  • オンライン教師は増えている!
  • 求められる資格やレベルは高い!

海外で日本語教師資格の取得は?

最近は減りましたが、留学生の中には「海外で日本語教師資格を取得したい!」というかたもいらっしゃいます。

そうしたケースで注意して頂きたいのは、海外で日本語教師資格を取得すると日本で日本語教師資格を取得するのは、全く中身が違ってくるという点です。

●日本と海外の日本語教師の違いとは?

そもそも日本語の教え方として直接法・間接法と2種類があり、『日本語で日本語を教える直接法』と『英語やフランス語などの海外の言葉を使って教える間接法』という方法で、全く教え方や需要が変わってきます。

海外では『欧米圏では間接法が主流』になっており、英語で日本を教えることができる先生に需要が生まれますが、日本では直接法で日本語を使って日本語を教えることになるので、日本で日本語教師として働くことを考える場合、海外で取得した資格取得やキャリアを評価して貰えないこともあるので注意が必要です。

そのため、日本で日本語教師として勤務することを目指す場合には、海外留学の必要性はかなり小さくなってしまい、語学留学では無くて『現地でのボランティア経験』を優先させることをおすすめ致します。

  • 日本と海外の日本語教師は違う!

海外で日本語教師として小学校や中学校で教える!

最近では日本語教師の需要が伸びてきていることから、海外の小学校や中学校、または高校などの教育機関に『先生側がお金を支払って授業を行いに行く』と言うインターンシッププログラムが多数あります。

しかしながら、日本の大学機関によるルートなどの募集で無い限りは、給与はあくまでインターンシップとなるため8万円/月程度と非常に安価に設定されているだけで無く、斡旋料などを支払うことになるので、そもそも給与については無いものと考える必要があります。

また、大学等のルートになる場合、ワーキングホリデーや学生ビザなどの手配では無くて、特別な『就労ビザ』や『活動ビザ』が手配されることがほとんどですので、違いはビザで直ぐに分かります。

  • 日本語教師としてのインターンプログラムがある!

シニア層向けの日本語教師の資格

最近では、リタイアしたシニア層向けの日本語教師の育成を行う教育関係者も増えてきており、シニア層にとってリタイア後の職種として日本語教師を選択する人たちが増えています。

日本語教師の資格は3~4ヵ月で取得が可能で、教材費等込みで約50~60万円ほどになるので資格としては比較的に手が届きやすいものになっています。

しかしながら、どうしても資格が有っても『経験が無い人には仕事が無い』というのが現実ですので、30人のクラスメイトの内でも卒業するのは5人程度で、実際に教師を目指すのではなく『習い事』として資格取得のために通われる方が多いです。

  • シニア層に日本語教師の資格は人気に!

日本語教師では無い仕事を目指す人々

日本語教師の現実を知って、目標を『スクールカウンセラー』や『栄養教諭』または『社会福祉士(ケースワーカー)』それに『幼児教育』や『介護士』としての資格を海外で取得される方々も最近は増えてきています。

例えば、学校のカウンセラーとして日本人留学生に対して的確なアドバイスができるように、カレッジや大学などに進学してカウンセリング資格の取得までを目指すことによって、時間は掛かってしまいますが、その分、英語力に加えて海外での勤務ができる正当な資格まで習得できるルートです。

また、比較的に近いルートとしては、TESOL(Teaching English to Speakers of Other Languages)などの英語教師になるルートですが、最近は子供のたちの英語力が大幅に上昇しているので、資格は取れても将来的に資格が使えない可能性が大きすぎることが問題となっています。

  • 「本当に将来使える資格なのか?」慎重に選ぶこと!
留学生
留学生

日本語教師の世界も簡単ではないですよね・・。

COCOA
COCOA

ただ、2024年4月から日本語教師は国家資格『登録日本語教員』になるので、注目度は上がってきています!

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日本語教師として留学する人のための知識!【完全版】

海で将来を考える外国の女性

ここでは日本語教師について詳しく案内させていただきましたが、実際に欧米などの海外で勤務されている日本語教師の多くは、日本語教師の資格を持っていなかったりします。

カナダで日本語教師を務めていた先生にインタビューをさせていただいたところ、必要なのは日本語教師の資格ではなく、海外で教員部門に就くことができる『永住権』や『就労許可証(ワークパーミット)』の取得の方が圧倒的に大切だということです。

最近では、海外の日本語教師を目指して海外留学を志される方が増えてはいますが、実際に海外派遣される先としては、ベトナムやミャンマーとなるケースがほとんどです。

理想と現実の差のギャップに驚かれる留学生も多いので、是非、日本語教師の『境遇』や『給与』についてしっかり調べた上で留学に出ていただければと思います。

また、よくある質問としては「ワーキングホリデーで日本語教師として働けますか?」というものもありますが、残念ながら、たとえ日本で日本語教師の資格を持っていたとしても、海外で日本語教師の仕事はほとんどありません。

ワーキングホリデービザを発給する国には、必ず日本語教師をボランティアにする方が沢山いらっしゃるので注意しておいて頂ければと思います。

最後に、日本語教師の方々に「なぜ日本語教師をやるのですか?」とインタビューさせていただいたところ、そのほとんどのかたから「やりがいがあるから!」という回答を頂きました。

将来の日本では、これまで以上にたくさんの外国人がやってきて日本に住むことが考えられている中で、日本語教師を目指す皆様のために、少しでも有益な情報を提供できておりましたら幸いです。