国境なき医師団への礎!ソーシャルワーク留学体験談!
『日本では絶対にできない経験がカナダにはありました。』
日本で心理士として活躍されていた由奈さんには国境なき医師団に挑戦するという夢があります。
挑戦していくにはハードルが高い国境なき医師団ですが、挑戦するためのステップとしてのカナダ留学で、由奈さんは何を経験し、何を考えてこられたのでしょうか。
海外でのソーシャルワークに興味のある方へも必見の体験談です。
留学前のできごと ~留学のきっかけは?~
由奈さんの留学ストーリー・旅立ち!
Q.留学に行ったきっかけは?
A.私が留学を決めた理由としては、昔から長期留学に憧れがあったことと、、もう1つは私自身ずっと福祉の仕事に携わってきて、これからの自分の人生やキャリアを考えたときに別のことや新しいことにチャレンジしてみたいと考えたのが始まりでした。
あとは、私には『国境なき医師団』に入って活動する夢があって、若い時は「私には無理だろう」って思っていていたんですが、経験やキャリアもある程度積んだ中で、人生一度きりで、チャレンジせずに諦めてしまうのはもったいないなと思い始めて、『国境なき医師団』に入るために必要な英語力を上げてみようと思ったのも理由でした。
ただ、他のエージェントさんにホスピタリティを勧められたりしましたが、私は自分が興味のないことを学ぶのは本当に嫌で、いろいろ探している内にコミュニティサポートワーカーに関する福祉のプログラムがあると知って、「それに決めた!」っていう感じでした。
Q.留学行く前の心配や不安は?
A.一番は生活ですかね。
カナダに行って、シェアハウス見つかるかな?とか、丁度円安になってきた時だったんで、生活費大丈夫かな?とか、アルバイトできるのかな?とか、生活面の不安が一番大きかったですね。
ただ、実際に行ってみたら、「意外にいける」と思いました。
でも、シェアハウスに関しては不安すぎて、到着したその日から探し始めたんですよ。
暇さえあれば、クレイグリストとか見て、気になったところにすぐ連絡して、でもちょっと怖いから、連絡来てもすぐに返せないことが続いてたら、もう別の人に決まっちゃったよって言われて、逆に焦って・・みたいなのが最初の1週間でした(笑)
そんなこんなしてたんですが、2週間目くらいで引っ越し先は見つかったんで、頑張ればなんとかなるって、その時思いましたね。
由奈さんのびっくりエピソード!
アルバイトもすごくスムーズに見つかったんですけど、実はクビになるって経験を初めてしまして・・(苦笑)
最初はアルバイトする気はなかったんですが、現地の物価の高さもあって、余裕のある暮らしはできないなと思って、探し始めて、1週間もかからない内にスーパーのレジのアルバイトが見つかったんです。
ただ、日本から知り合いが来るタイミングで2週間お休みを取ったら、次に戻ったときに自分の名前がシフト表になくて、「もう来なくていいよ」って言われてしまって・・。
その時は日本的な感覚でいすぎて、バイトだし、休んでも平気だろうくらいにしか思ってなかったんですけど、簡単にクビになっちゃったのには、凄く日本の違いを感じました。
初めてのことだし、ビックリしすぎて、その場で泣いちゃいましたけど、今は日本じゃ経験できないことだし、海外の文化を経験できたなってことで、割り切りました(笑)
- 一度きりの人生、妥協せずに、自分の夢のための留学をしてみる!
- 心配していたことは案外問題ないけど、油断は禁物・・!
海外ではアルバイトでもすぐにクビにされちゃうって聞いたんですが!
そうですね。雇用先の意図に沿わない人材の場合、そういった状況になることもありますが、それも文化の違いだと思って、次のお仕事先を見つけていく方が多いですよ!
現地のことをたくさん教えて!
由奈さんの留学ストーリー・カレッジでのできごと!
Q.コミュニティサポートワーカープログラムって何?
A.私はSprott Shaw CollegeのCommunity Support Worker - Social Servicesプログラムで1年学んでました。
基本的には、大きく分けて、子どもと大人について学ぶのと、話の聞き方や人との関わり方みたいなスキルについて学んでいきますが、サポートする対象について学ぶというのが大きな括りですね。
Community Support Workerっていろんな分野で働けるんですよ。
子供や大人、高齢者とか、1人の人生の中のいろんなところに関われる職業なので、子供の発達、大人のライフサイクル、メンタルヘルス、精神疾患、発達障害など広く学んでいくんですが、私がいたバンクーバーで一番問題なのがドラッグアディクション(薬物依存/以下、アディクション)なんですよね。
ダウンタウンイーストサイドっていうホームレスの人たちが路上で生活してることで知られる地域では、最近フェンタニールというもともと鎮痛剤として使われていた薬が中毒性があまりにも強すぎて、ドラックとして使われてしまうことが問題で、そういうドラックに関しての知識やどうしてその問題が起こるのかなども学びます。
Q.学びの中で印象に残っていることは?
A.その中でも、私が1番学んで良かったと思うのは、Indigenous(インディジネス/先住民)の人たちについて学んだことです。
カナダは白人の人たちが先住民族から土地を奪って作られた歴史があって、先住民の人たちは差別的だったり、非人道的な扱いを受けてきたりしたことで、今現在も社会的に弱い立場で貧困に悩まされている人やそれが原因で精神疾患やアルコール・ドラック依存症になってしまう人がすごく多いんです。
今でこそカナダは多様性があって、みんな平等に権利があるイメージがありますが、実際はまだ人権的な問題が残っているんですよね。
- 人の人生の様々な場面に関われるのがソーシャルサポートワーカー
- どの国にも歴史があって、現在の問題に歴史がどう影響しているかも重要な勉強
日本ではなかなか聞かない職業ですね。
日本ではいわゆる社会福祉士と呼ばれる職業ですが、海外では日本よりも活躍の幅が広いことが特徴です。
実習ってどんなことするの?
由奈さんの留学ストーリー・実習でのできごと!
Q.実習はどんなところ?
A.実習の期間は約2カ月(200時間)で、学校から紹介される実習先や自分たちで探す実習先もあって、自分の興味関心で実習先を選択していく感じでした。
私の場合は学校が紹介してくれた日本でいうグループホームみたいなところで、精神疾患やアディクションの方、ホームレスだった人たち、生活困窮者向けにサポートも受けれる住居で実習を行っていました。
ほとんどの入居者さんは自立されていて、介護が必要みたいな人たちではないんですけど、やっぱり服薬管理やお金の管理などに、少しサポートが必要な人たちが住んでいて、その人たちのニーズに合わせてサポートを提供するという感じの場所でした。
Q.そこではどんな実習をしてた?
A.基本は入居者の方のオブザーベーション(観察)で、それが実習生のメインタスクなんですが、私はやることがない時間が嫌だったので、できるだけ率先して何でもやろうっていう気持ちでいたら、掃除とか、料理とか、簡単に言えば雑用みたいのことをいろいろ任せてもらえました。
一番私が大変だったのは、他のスタッフが誰も入りたがらないくらい、本当にめちゃくちゃ汚いお部屋の掃除するというのが一番大変でした。
もともとホームレスだった人たちは多くの場合、衛生観念が低くて、お風呂にきちんと入れない、部屋を掃除できない、汚れていても気にしないという人が多くて、入居者のお1人にその中でも“大変な”人がいらっしゃったんですよね。
もう部屋中ゴキブリだらけ、ゴミだらけみたいな感じで、防護服みたいなものを着て、マスクも2重にして入るんですけど、あんまりにも気持ち悪すぎて、私は最後までそこにいることができませんでした。
もともと日本でも福祉に関わっていて、お風呂に入れない人やごみ屋敷みたいなおうちとかの経験はあったので、慣れているつもりだったんですが、全然レベルが違いました。
Q.他に印象的なことは?
A.ボランティア先で印象に残っているのが、『ハームリダクション』という考え方で、薬物をやめましょう、ゼロにしましょうではなく、使うことによるリスクや健康被害(=ハーム)を少しでも減らしていこうという考え方なんです。
やっぱり依存してしまうと完全に薬物使用をやめるというのが難しいので、辞められないのであれば、せめて安全に使ってもらおうということで、どこの福祉施設にも薬物を使用するための注射器とか、パイプとかが支給できるように備品があるんです。
私も実際受付でアルバイトしていたときに、注射器を渡すこともあって、だいぶカルチャーショックで、日本では絶対ありえない光景だなと感じてました。
日本だったら、救急車呼べば助かるレベルなことがほとんどなんですけど、カナダだと今処置しなきゃいけないみたいなことも起こりうるので、福祉関係者の人は呼吸・心肺機能を回復させる薬を携帯している人が多くて、国の違いも感じました。
Q.実習先で怖い目にあわなかった?
A.実習先では住人の方にめっちゃいろいろ怒られましたけど、あんまり怖い目にあうというのは意外となかったです。
やっぱりバスの中とか電車の中で不穏な動きをしている人とか怖いと感じると思うんですけど、それは当然だし、私でも思いますが、ソーシャルワークの背景があったり、対処法がわかっていたりすると、そこまで不要に怯えることはないと思えるようになります。
Q.このプログラムを卒業されていく方の進路は?
A.私のクラスメイトの1人はもともと高齢者介護の仕事をしてたんですけど、今後はメンタルヘルスの方に関わりたいとキャリアチェンジにチャレンジしていました。
その他にも、シェルターとか、ホームレスの支援とかに行こうかと考えている人もいましたし、いろいろ課題を抱えた子どもの支援、移民の支援をしたいっていう人もいました。
Q.海外でソーシャルワークを学ぶなら、覚悟しておいた方がいいことは?
A.結構、ドラッグが認知機能に影響してしまって、自分の感情をコントロールできない人もいますし、文化的に主張をしていくことが良いとされる国でもあるので、こちらがなんでも受け入れる、聞いてあげようという姿勢だと、見境なくグイグイくるんです。
なので、日本はやってあげることが美徳みたいな感覚がありますが、海外ではこれはできるけど、これはできないというバウンダリー(境界線)をしっかり引けないと、自分が潰れてしまったり、自分が苦しくなってしまったりするので、強い意志が必要ということは覚えておいた方がいいと思います。
Q.言語面で苦労されたことはある?
A.めっちゃありますね。
ソーシャルワークプログラムは比較的他のプログラムよりも高い英語力が入学条件になっていて、それをクリアした私ですが、授業も、実習も大変でした。
授業では普段4時間英語を聞き続けるっていうことがないので、最初は授業終わったらベッドに倒れ込んで、動けないみたいな感じで、ものすごい疲労感を感じてましたし、意見を求められることも多いので、言いたいことはあるんだけど、うまく言えないこともあって、もどかしさもすごい感じてました。
実習やボランティアでは、ネイティブの爆速英語についていけないっていうのが一番大変でした。
みんな手加減を絶対してくれないので、福祉施設の受付のボランティアで電話を取る機会が多かったんですが、日本語でもたまに聞き取れないことが結構電話ってあると思うんですけど、爆速英語を電話で聞き取りをするっていうのが本当に難しいんです。
電話されてくる方って困ってる人たちなので、何回も同じ説明をさせられるってすごく苦痛だと思うんで、なんとか1発で聞き取れるように、単語単語を聞き取って、そこから文脈を想像したり、汲み取ったりする能力も上げていきました。
Q.これやっておけばよかったなと思うことは?
A.カレッジでライティングの課題が結構多かったので、ライティングの練習もちょっとすればよかったなぁっていうのはありますね。
リスニングとスピーキングも、高いレベルがあって困ることはないので、勉強できるのであれば、渡航してからの選択肢が増えるので、やっていった方がいいと思います。
- 日本と海外で問題にされることが異なるがゆえに、心構えもしっかり必要!
- 自分を守るためにも、しっかり境界線を作っておこう!
人をサポートできるお仕事にすごく興味があります!
興味があるだけでは続かない難しさもあるので、なぜそこに興味があるのか、将来的にどんなことを活かしていきたいのかなど留学に意味付けをしていくとよいと思います。
留学を終えた今の想い
ユナの留学ストーリー・帰国後の今!
Q.これからのこと
A.今、国境なき医師団の応募に向けてレジュメをちょっと作っていて、来月には応募しようかなと動き始めてます。
スムーズにいけば、1年後くらいには今後の方向も決まってきて、選考がうまくいけば、来年にはどこか派遣されてたらいいなと思ってはいます。
Q.これから留学を考える人へ
A.基本的に全てなんとかなるっていうことですね。
私、長期留学が初めてで、いろいろ不安も多かったんですけど、最初は大変だと思いますけど、海外だろうとどこでも生活できるなっていう自信がつきました。
落ち着いてしまえば、喉元過ぎれば熱さを忘れるじゃないけど、なんとかなるので、あまり不安に思いすぎなくていいと思います。
あとは、いろんな人を頼った方がいいかもしれないですね。
私は授業もオンラインが多くて、結構孤独で、家にずっといることが多くて、無理はしなくてもいいかもしれないですけど、できるだけ積極的にいろんな人とか関わってみるとかした方が充実するんじゃないかなと思います。
- 夢を現実にするための努力は惜しまない!
- 海外では頼れる人やグループを積極的に活用していこう。
今、なんだかんだ不安でも、結構現地で頑張れるものなんですね!
楽しんでいる方のほうが圧倒的に多いですよ!もちろん、現地で不安になってしまったときでも、ココア留学スタッフがしっかりサポートに入っていくので、ご安心ください。
ユナの留学インタビューまとめ
由奈さんのソーシャルワーク体験談はいかがでしたでしょうか?
日本で社会福祉士と聞くと、介護を思い浮かべることが多いですが、海外だとより多くの活躍の場があるのが社会福祉士なんですね。
留学先ではホームレスを見かけることが多かったり、キリスト教の教えから施しを与える人を見かけることが多かったりと、日本ではあまり見ない光景に出会うことがあります。
だからこそ、日本的な感覚でソーシャルワークを考えてしまうと、環境のギャップについていけなかったり、自分がつぶれてしまったりしてしまうので、相当な覚悟が必要だと思っておかれるとよいかと思います。
また、国境なき医師団に挑戦するには様々な条件があり、自分には無理かなと思われている方もいらっしゃるかもしれませんが、すぐには無理でも、足掛かりを作ることは可能です。
皆さんの夢のための第一歩をココア留学にお手伝いさせてください。