海外ファーム・農業で英語を学ぶ!or転職キャリア留学?
ここ数年のスローライフブームにより、ファームや農場での勤務を希望したり、脱サラして農業を始める方々が増え始めています。
そうした中で海外でのファームステイなどを希望する20代~30代にかけての留学やワーキングホリデー相談も増えてきており、農業と留学が切っても切れない関係となってきています。
しかしながら、海外でファーム関連のお仕事についたことで、大学卒業から積み上げてきたキャリアを一気に壊してしまう方々も少なくないので注意が必要なのも、農業関連の留学の大きな特徴となっています。
そこでここでは、『海外でのファームや農場で働く方法』と『農業からのキャリアアップ転職留学』についてご紹介させていただきたいと思います。
一般的には知られる事は無い、留学とキャリアのプロ目線のお話が盛りだくさんですので、よかったら最後までお付き合い下さい。
日本で農業・ファームへの転職が増えている?
先にご案内させていただいたように、近年では『スローライフ』と言って都会の忙しいサラリーマン生活から脱サラして、田舎で農業を始められる方々が増えています。
やはり東京や名古屋そして大阪や福岡などの大都市で働いていると、時間やノルマに追われながら上司や顧客からの重圧やストレスから逃げ出したくなる気持ちは痛いほどわかります。
しかしながら、実際に日本で農業を始めてみると、スローライフどころか「サラリーマン時代よりも労働時間が圧倒的に長くなってしまい、朝も早いのでスローライフどころか・・」と言うかたも珍しくありません。
日本で農業すると収入は良いの?
日本で農家として転職を希望される方が1番気になるのは、日本における農家の年収についてですが、専業農家のほとんどが個人事業主になるため、サラリーマンのような年収では発表されていません。
そこで農林水産省が発表している、個別経営大の経営収支の推移をご覧いただきたいのですが、注目は『農業経営費』と『農業所得』についてです。
日本の平均年収が440円万円と呼ばれている中で、収益は非常に大きなものになっていますが、所得はかなり限られたものになっていることがわかるかと思います。
※ グラフをクリックすると詳細が絞り込めます
農業粗収益 | 農業経営費 | 農業所得 | |
---|---|---|---|
2018年 | 626万円 | 452万円 | 174万円 |
2017年 | 624万円 | 433万円 | 191万円 |
2016年 | 593万円 | 408万円 | 185万円 |
2015年 | 544万円 | 391万円 | 153万円 |
2014年 | 501万円 | 382万円 | 119万円 |
2013年 | 497万円 | 365万円 | 132万円 |
※ 農業は経営費が多く掛かっていることが分かります。
(農林水産省:2019年度調べ)
世界のファーム(農場)で働くと稼げる?
日本の農家は個人事業主として経費を使うことができますが、不作のときなどの精神的なストレス等を考えたり、植物や生き物相手にしている以上は『休みが自由に取れない』と言うことを考えますと、収入的には恵まれた職業とは言い難い部分があります。
そこで続いては、目線を「専業農家ではなく農家でアルバイトした場合どうなるか?」という、農業をカジュアルの仕事として捉えた場合のお話へと入らせていただきたいと思います。
日本の農業のアルバイトは割が良い?
日本の農家は慢性的な人手不足に陥っており、最近ではベトナムを代表とした海外からの技能実習生たちが農家で働く様子をよく見かけるようになりました。
そうした中で、20代の皆さんも農家で収穫時などの繁忙期に臨時アルバイトとして、働く方もいらっしゃいます。
そこで、「日本の農家の平均時給が世界で見るとどれぐらいになっているのか?」分かりやすくするため、世界の農家の平均時給をアメリカやカナダ・オーストラリアなどの英語圏の国と一緒にグラフにまとめてみましたのでご覧ください。
以下のグラフを見ると、他の職業と比較して農家の時給は世界との差があまり大きくないですが、それでも日本の平均時給はかなり低いことがわかります(日本の時給は農業・林業・漁業の総合時給になっています)。
※ グラフをクリックすると詳細が絞り込めます
国名 | 給与(時給) | |
---|---|---|
日本 | 神奈川県 | 1,020円 |
愛知県 | 1,058円 | |
兵庫県 | 960円 | |
福岡県 | 1,056円 | |
アメリカ | 1,154円($10.36/hour) | |
カナダ | 1,269円(C$14.62/hour) | |
イギリス | 1,513円(£9.99/hour) | |
オーストラリア | 2,028円(A$23.98hour) | |
ニュージーランド | 1,452円(NZ$18.50/hour) |
※ 三菱UFJリサーチ&コンサルティング2018年年間平均TTS為替レート採用。
(タウンワーク・indeed:2019年度調べ)
海外ファームで働く?それとも転職?
日本と世界における農家の収入について知っていただいたところで、いよいよ本題となる『海外のファームで働く方法』と『農家から転職キャリア留学を行う方法』について解説してみたいと思います。
海外のファーム(農業)で働く方法とは?
先にご覧になっていただいた『世界の農業関係の平均時給』をまとめたグラフから、オーストラリアのファームは他の国と比較してかなり高い時給となっていることにお気づきいただけたかと思います。
それもそのはず、オーストラリアは夏には平均気温が40度を超える気温になるだけで無く、地球の大気の流れに関する問題で『オゾン層に穴』が開いており、太陽光(紫外線)が主な原因だと言われる『皮膚癌』の発症率が世界で最も高い水準となっているためです。
そのため「ファームで働きたい」と言う若いオーストラリア人は非常に少なく、オーストラリア農家の人材難は著しく高いものになっているため、たとえ外国人であったとしても就労が可能なビザさえ持っていれば、英語力に関係なく勤務できる環境が用意されています。
またその他の海外でも、ワーキングホリデービザなどの就労許可証さえ持っていれば、有給で働く機会は英語などのコミュニケーション能力が低くても全然あります。
ファームで働くWWOOF(ウーフ)とは?
WWOOF(ウーフ)といって、1971年にイギリスで生まれた『完全無償の海外ファームステイ』の方法もありますが、これは一切の金銭的なやり取りは禁止されているものの『住む場所と食事を提供してもらえる』と言うファームステイもあります。
WWOOFに参加する人は、ウーファーと呼ばれて世界中のWWOOFに登録した農家で、食事と家を保障された状態で農業ボランティアをすることが可能になります。
しかしながら最近では、オーストラリアのワーキングホリデービザの延長がWWOOFでは不可能になったり、そもそも有給で働くことができる農家が山のようにあるため人気がなくなってきています。
ワーホリでファーム(農家)で働く!
20代の皆さんから農業関連の留学について最も相談が多いのが、ワーキングホリデービザを使ったファームステイについてです。
オーストラリアでは『ワーキングホリデー期間中にファームで働いた人に関して、2度までの延長申請が行える』という特別なルールを設けていることから、日本からもたくさんの皆さんがフルーツの摘み取り等のピックアップ作業に従事しています。
農業は天候に左右されるため、時期や季節によっては募集数は上下しますが、労働環境にさえこだわらなければ、いくらでも農家のお仕事は見つけることができるのでご安心いただければと思います。
しかしながらご注意いただきたいのは、海外へと留学のつもりで行ったのに、ワーキングホリデーで農家へと勤務してしまったため、これまでのキャリアをつぶしてしまう方もいらっしゃいます。
ワーキングホリデーでせっかく英語力をアップして帰国したけれど、「新卒で入社した会社と比較して給料も待遇も悪くなってしまった・・」と言うのは、もう毎日のように聞いているお話ですのでご注意ください。
農家からの転職キャリア留学とは?
日本の農家で働いていらっしゃる方々から「将来、IT関連の仕事で働きたいと考えています。留学でキャリアアップして転職することは可能でしょうか?」と言うご相談を引っ切りなしにいただきます。
農家からキャリアアップして他の業種へ転職するのは、実は、難しいものになってしまうことも珍しくありません。
相談にいらっしゃる農家やアルバイトをしていらっしゃる皆様方のほとんどが、「私には再就職のために武器になるものがないのですが・・」とおっしゃるためです。
そのため単純な1年程度の留学に出て、ある程度の英語力を身に付けたところで、ビジネスで通用するところまで伸ばすことはなかなか難しいと言うのが本音です。
転職のためにはしっかりとした留学プランや渡航計画が必須になりますので、日本の農家でアルバイトをしていらっしゃる皆様も、留学前には必ず留学やキャリア構築のプロに相談することをオススメいたします。
理想のファーム留学・転職キャリア留学とは?
ここまで難しい話ばかりさせていただきましたが、ファーム留学に出られる方にはどうしても知っておいていただきたい内容ばかりだったので、削除せずに案内させていただきました。
続いては、気軽にご覧いただけるように、理想のファーム留学や転職キャリアアップ留学についての流れをざっくりとした形でまとめてみましたのでご覧ください。
海外ファームor転職キャリアへの留学ステップ!
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- Step.1 留学相談をスタートさせる【留学6~8ヵ月前】
- 留学相談のスタートさせて、留学に関してある程度のプランニングを考えていきます
(※ キャリアアップ・転職・海外永住希望、それにファームで本当に勤務するかどうか?も重要です)
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- Step.2 留学計画を立てる【留学3~5ヵ月前】
- 『語学の計画』や『将来のライフプランの設計』を行います
(※ 日本の農家からの転職や英語をプラスするなどを計画に盛り込み、ベースになる渡航計画は必ず設計する)
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- Step.3 英語力を測定して留学期間と時期を決める【留学3~5ヵ月前】
- 学校のオンラインテスト(民間の英語試験)などを受講して英語力を診断します
(※ 必要に応じて進学するカレッジまでの期間や帰国までの英語の伸びについても予想が立てられます)
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- Step.4 学校の申し込みを行う【留学3~5ヵ月前】
- 学校に願書・入学申し込みを行い入学証明を受ける
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- Step.5 ビザ手配をスタートさせる【留学3~5ヵ月前】
- カウンセリングのプランに合わせて必要なビザを手配し完了させる
(※ 永住権のチャンスや転職希望の方は、絶対にワーホリビザの先取得はおやめください)
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- Step.6 退職調整や航空券・荷物の準備をする【留学3ヵ月前】
- 調整と航空券や保険の手配
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- Step.7 住民票を抜くなど役所の手続きを済ませる【留学1ヵ月前】
- 留学によって役所での手続きが幾つか発生します
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- Step.8 荷物をパッキングして出発!
- 荷物の最終チェックをして留学に出発します!
留学に必要・便利な持ち物リスト【2024年版】【印刷可】
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- Step.9 留学生活スタート!
- キャリア留学の場合には働くことができるまで英語やスキルを高めていきます
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- Step.10 インターンシップorボランティア【就労体験期間】
- 転職希望の場合には必ずこのステップを行います
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- Step.11 滞在延長or帰国!【帰国予定3ヵ月前】
- 就労資格を使って更に滞在期間を延長させて英語力やスキルに磨きをかける!
(※ ここで帰国ルートに入る場合にはStep.12をスキップしてください)
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- Step.12 海外での就労経験+収入!【就労期間】
- ファームor転職予定の職業で海外勤務
(※ ステップを踏んでいるので転職希望のお仕事orファームでしっかり働く!)
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- Step.13 帰国前に就職カウンセリングを受ける!【帰国予定2ヵ月前】
- 帰国をしてしまう前に必ず就職カウンセリングを受け、帰国と同時に面接を手配する
(※ 転職の場合には先にキャリアコンサルを入れることで自分に足りないスキルを確認。場合によってはStep.11で留学期間の延長へ)
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- Step.14 帰国!
- 帰国前に留学先での銀行や賃貸契約などを全て切ってから帰ります
(※ 帰国後には面倒ですが役所の手続きなども済ませます)
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- Step.15 企業面接!【帰国2週間以内】
- 帰国前に手配しておいた企業との面接を受けます
(※ 転職の場合も現地就労経験+英語力になり、帰国前のキャリアコンサルで日本の現状にも対応しているので帰国後の就職もバッチリです!)
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- Step.16 就職していよいよ日本での新生活スタート!【帰国1ヵ月以内】
- 滞在先の相談もココアで合わせて手配しているので新生活がスムーズにスタートします!
海外ファーム・農業で英語を学ぶ!or転職キャリア留学?まとめ
ここではファームや農業留学または転職のためのキャリア留学など、農業関係で従事される方のために海外と日本の幅広い角度からご紹介させていただきました。
実際に農家で勤務されていらっしゃる方ならばわかると思うのですが、ファームでのお仕事は『スピードが命』だったりいたします。
ファームは場所や対象となる野菜や果物または家畜によって違いますが、朝の集合も早いため、5時半ごろには起きて準備し、6時過ぎには農場に向かい始め、7時には作業開始となります。
当然、体力勝負の仕事ですので、夜も10時には寝て次の日に備えるという、過酷なお仕事になります。
しかしながら、ファームを乗り切った留学生達の顔をみると、皆、真っ黒に日焼けして、たくましくなって帰ってきます。
とても厳しい仕事ではありますが、留学の作り方次第で、外では絶対に得られないような経験ができる、面白い留学をすることも可能です。
そうした留学に少しでも興味がございましたらお気軽にご相談いただければと思います。
難しいお話ばかりになってしまったのに、最後までお付き合いいただけたこと本当に感謝いたします。